期限切れの健康保険証や
「お知らせ」でも受診可能
この法改正によって、24年12月2日以降は健康保険証の新規発行は停止された。従来型の健康保険証の有効期限は法律施行後1年間とされ、発行済の保険証も有効期限がきたら、その効力を失うことになった。
これまで、自治体の多くは健康保険証の有効期限を8月から翌年7月までの1年間に設定していたため、多くの健康保険証がこの7月に有効期限を迎えることになった。
デジタル庁の「マイナンバーカードの普及に関するダッシュボード」によると、25年7月25日時点でのマイナンバーカードの累計保有枚数は約9834万枚で、人口の78.7%がマイナンバーカードを保有している。このうち、マイナ保険証の利用登録を行っているのは約8483万枚で、カード保有者の86.3%がマイナ保険証の登録を行っている。
ただし、マイナ保険証の利用率は伸び悩んでおり、25年6月分で30.6%にとどまっている〔厚生労働省HP「オンライン資格確認について(医療機関・施術所等、システムベンダ向け)」より〕。マイナ保険証の利用は主流になっておらず、7割の人が従来の被保険者証で受診しているのだ。
制度は変わったものの、病院や診療所に行くのにマイナンバーカードや資格確認書を持って行くのを忘れてしまったり、期限切れの健康保険証を持っていったりする人も予想される。そもそも、マイナンバーカードを持っていなかったり、マイナ保険証の登録をしていなかったりする人もいるだろう。
この状況でいきなり健康保険証を利用できなくしてしまうと、医療の現場に大きな混乱を招く恐れがある。そこで、厚生労働省から「8月以降の健康保険証の切り替えに伴う対応について」(5月30日付け)、「健康保険証の有効期限切れに伴う暫定的な取扱いに関する疑義解釈資料の送付について」(6月27日付け)という通知が出され、特別措置が行われることになった。
この通知により、患者が期限切れの健康保険証を持参した場合も、その他の方法で資格情報が確認できた人については、26年3月末までは全額自己負担にならず、通常の自己負担分(年齢や所得に応じて1~3割)の支払いだけで医療機関を受診できるようになっている。