「保険証忘れた!」医療機関を受診する時、被保険証やマイナンバーカードを携帯していないと全額自己負担で支払うことになる。近くの病院なら、後日、被保険証を持っていけば差額分のお金を払い戻してもらえることもあるが、再訪が難しい旅先の場合はどうなるか。『医療費の裏ワザと落とし穴』の第284回では、そんなケースでも慌てないために「療養費」の制度について解説する。(フリーライター 早川幸子)
旅先で一泊入院することに
全額自己負担で6万円もの出費!
この夏休み、家族でキャンプに出かけたAさん(42歳)は、旅先で思わぬ出費をすることになった。みんなでバーベキューを楽しんだその夜、急な腹痛に襲われ、救急対応している病院に駆け込むことになったのだ。
病院で食中毒と診断され、念のために一泊入院することになった。不幸中の幸いで大事に至らず、すぐに退院できたが、痛かったのはその費用だ。
「うっかりしていて、健康保険証もマイナンバーカードも持って来ていませんでした。かかった医療費は約6万円で、全額自己負担することになりました」
Aさんのように、公的医療保険の被保険者証(健康保険証)を持たずに受診すると、医療機関の窓口では医療費は全額自己負担しなければならない。だが、こうしたケースでも、加入している健康保険組合に「療養費」の申請をすると、本来の自己負担分を除いたお金を払い戻してもらうことができるのだ。「療養費」とはどのような制度なのか。詳しく見ていこう。