違法性風俗で働く
ベトナム人女性の実態
定住者の在留資格を持つインドシナ難民にしてみれば、失踪者はあくまで日本に短期間出稼ぎに来ている若者であり、自分たちとは立場が違うという認識らしい。
カムラはつづける。
「失踪者の女性がもっと手っ取り早く金がほしいと望めば、セックスの仕事を紹介することもあった。でも、日本人には、ベトナム人の女はあんまり人気がない。中国人の女の方が大好き。だから俺たちはベトナム人の女を中国人デリヘルへ連れて行って中国人だと?をついて働かせることにした。ベトナム人はタイ人やラオス人より中国人に近い顔をしているし、震災の頃は中国人の女の数が減っていたから、店も女をほしがっていた。

でも、うまくいかなかった。中国人の店長が給料をちゃんと払わなかったり、ベトナム人を馬鹿にしたりする。ベトナム人も本音では中国人のことが嫌い。それでいつもケンカになり、だんだんと面倒くさくなって、中国人の店でベトナム人の女を働かせるのをやめて、タイエステやタイマッサージの店で働かせることにした」
カムラの言うタイのエステ店やマッサージ店とは、違法な性的サービスを提供しているところだ。こうした店で働くタイ人の多くは1990年代に来日していたことから、高齢化していた。
そこでベトナム人の若い失踪者を働かせることで若返りを図ったらしい。
ただ、売春をしてまで大金を稼ぎたいと考える失踪者は決して多くないという。彼女たちは合法的な仕事を望んで来日しているし、失踪中に逮捕のリスクが高まることをするより、低賃金でも目立たずに働きつづけた方がいいと考えるためだそうだ。