さらにいうなら個人的にはミセスがあまり好きではないのだが、これだけ人気のある国民的グループになると注目度も段違いだし、よく思わない人も一定数出てくるから(どこに行ってもミセスの曲ばかりかかっている様子を指して「ミセスハラスメント」なんて言葉もあるそうである)、騒動にかこつけて批判されていると思われる向きもあり、ここはひとつミセスの好き嫌いに関わらずイーブンな目で問題の本質を見極めてみたい。

 という話を、コンサートステージの裏方などを務めたこともある人間の立場から(筆者はライターの傍ら、ミュージシャンでもある)しようとしているのだが、この観点だと演者・運営側寄りの意見になってしまうかもしれないことをご留意願いたい。私の話もまた偏るかもしれないので注意してほしい、ということである。

その音が「騒音か」はその人次第

 まず、SNSではファン寄りの声として「公式に謝罪する必要はない」というものがあった。法令の基準内でやるライブになんの不都合があろうか、というところである。

 これは非ファンからするとやや危ういが、もっと危ういものは口調が荒くて敵対的だったり、「ただでミセスの音楽聞けたんだからよかったでしょ」といった挑発的な姿勢を取る。これを目にした非ファンや良識あるファンたちが反感を覚えてドンパチしていて、騒動が炎上っぽくなっている。

 大前提として、大きい音はそのイベントに参加している人やそれを求めている人にとっては気持ちのよいものだが、それを求めていない人にとっては騒音以外のなにものでもない。

 大規模なライブ会場では時に会場から漏れるライブ音を目当てに会場周辺に集まって「音漏れ参戦」する人たちがいて物議をかもしているが、この人たちにとって音漏れは騒音でなく目的そのものである。

 しかし特に自宅などの他人から侵食されたくない聖域に響いてくる騒音は、「招かれざる存在」として、蚊や泥棒と本質的には同じである。