
一昔前までは安全のために仕方なくつけるものだった自転車乗車時のヘルメット。しかし今や選択肢が増え「選ぶ」「着用する」「見せる」を楽しむ人も増えている。40歳を過ぎて、ふとサイクリング用ヘルメット着用の新鮮さに気づいたライターが、その魅力を語る。(フリーライター 武藤弘樹)
1万5000円超のヘルメットが
どうしても欲しくなった
今年の4月から週に数回、自転車に乗るようになった。もっぱらシェアサイクルで、マイ自転車が欲しくなってくるとともにヘルメットにも興味が出てきたので、ヘルメットの方だけ入手して自転車に乗ってみると、これが予想がまったく及ばないレベルで楽しかった。
「努力義務」のヘルメットを好んでかぶるなんて正気の沙汰とは思えないと思われるのは重々承知であり、自分にとっても意外な体験であった。
最初は、妻のご機嫌うかがいくらいの簡単な気持ちであった。自転車に乗ると交通事故のリスクはどうしても出てくるので、せめて安全に配慮しているポーズを示しておきたく、軽い気持ちでヘルメットを検索し始めたのである。
するとバラエティに富んだものが山のように出てきた。種類でいうとサイクリングメット、スケボーなどのスポーツ向け、バイクのハーフヘルメット(半ヘル)あたりが自転車向けのヘルメットの選択肢になってくるだろうか。自転車やスケボーのスポーツ用ヘルメットは軽くて通気性が良いのが特徴である。
デザインは多彩で、カジュアルな帽子やお上品なつば付き帽子を模したヘルメットなんかもある。機能面も様々で、少し変わったサイクルメットだと折り畳み式、LEDウィンカー搭載、スピーカー内蔵などもあって、色々あって見ていて楽しい。
やがてあるヘルメットに一目惚れするのだが、それが1万5000円超という、「せいぜい2000~3000円」とたかをくくっていたヘルメット素人にとっては受け入れがたき高値であった。