なぜ2日目に対策を講じなかったか
運営はたしかに「うるさくてごめんなさい」とは思っただろうが、何が何でもイベントはとりあえずやり切りたかったから1日目に苦情があっても2日目を敢行したし、1~2日目の間に謝ってしまうと批判が集まってライブがやりにくくなるから、2日間が終わってから「事後の振り返り的ごめんなさい」という形で声明を出した。
そこで前述のような事情説明をした。必要な説明であると思うが、ライブを敢行して事後の弁なので実際に言い訳っぽいトーンと受け取る人もいる。
これを言い訳にしたくなければ2日目に何か対策を講じたり、ライブの2日間のどこかでお詫びや事情説明を段階的にしていくべきであった。終わるまで黙って、事が済んでから謝ったから「言い訳」とひんしゅくを買ったわけである。
ただ1日目に問題があったからといって、極端な話、2日目を中止にしたり大幅な変更を加えることは、ビジネスとして大損害のリスクがあるから決断しにくい。「『法令準拠』の後ろ盾もあるし」ということで2日目もそのまま行われたのではあるまいか。
「ちょっと危ういけどこのまま行ったれー!」という局面はビジネスの現場ではままあるし、関わる人数が多いほど小回りがきかなくなるから、騒音被害が取りざたされる中、2日目までそのまま執り行われたことに関しては、妥当か否かは別にして、ごくありそうな現場判断かなとは感じる。
もし2日目の公演を中止にしていたら経済的な損失のほか、観覧を強制的にキャンセルされた5万人の観客を取り巻いて別の炎上が広がっていただろうから、運営にとってはよほどうまくやらない限りは引くも地獄、引かぬも地獄のような状況であった。
過去にももクロ(ももいろクローバーZ)の屋外コンサート で騒音の苦情があり、2日目は音を下げたが2日目の方が苦情がものすごく多かった、ということがあった(この時も埼玉県の会場から20キロ離れた都内まで音が届いたそうである)。
おそらく、音量を下げても聞こえるものは聞こえたので、2日目に我慢の限界に達した人たちが苦情を申し立て、結果的に電話が増えたのだろうと思われる。