音の響き方は地域によって差があった

 しかも騒音というのはその背景、たとえば若者が花火で盛り上がっている声なんかだと「若いやつが迷惑も考えずに調子に乗ってはめ外しやがってえー!」という、その騒音が発せられている背景にまで思いが及んでイライラが募るもので、結果としても大変ストレスとなる。

 ミセス擁護に回りたいファンはそのあたりのことを考えて、そのライブ音を求めていない一般の生活者たちにケンカを売らず、配慮した物言いや発信をした方が、「ミセスはファンもしっかりしている」という見え方になってバンドにもいいのではないかと、見ていて強く感じた。

 まあとにかく巨大な影響力のあるバンドなので、ファンも十人十色で大変である。

 そうではなく別の角度から、「昔から外でお祭りがあったりしたらうるさかったわけだし、現代人は許容範囲が狭くなりすぎではないか?」という意見も見られた。たしかにその通りだと感じられると同時に、それも地域とのつながりが薄れる中で自宅・自室がより不可侵の聖域となっていった現代人ならではの感覚なのかな、という気もした。

 ただ音の響き方や被害状況は地域や住まいによってだいぶ差があった点には留意しておきたい。

 筆者が見たXにアップされた動画では、川崎(会場から直線で10キロメートルの距離)の夜空を映していて、ライブ音が「近所の公園で何か演奏しているのかな」くらいの音が一帯に響いていた。

 蒲田に住むある人はミセスのライブが原因だったとわかるまでは隣人が爆音で音楽を鳴らしていたと疑わなかったし、家の前に駐車している車が大音量で音楽をかけていると思っていた人もいた。

 そして、後述するが、遠くに響くのは特に重低音(低周波)であり、低周波は人に頭痛や吐き気などの健康被害をもたらすことがある。ライブが行われた18~21時の間、低周波にさらされ続けた人のことを思えば、「それくらい許容したらいいのに」とはなかなか言いにくくなるはずであろう。

 公式の謝罪がライブ後に行われたことや、謝罪文が言い訳っぽくて誠意が感じられなかったという批判があって、これは当然かなと思う。