「スマホを見ていたらあっという間に2時間経ってた…」「あっという間に1日が過ぎていく」。スマホやSNSが蔓延っている今、そう感じたことはありませんか?
『とっぱらう――自分の時間を取り戻す「完璧な習慣」』の発売を記念して、年間200冊を手がけることもあるほど超人気かつ超多忙なデザイナーであり、著書『時間のデザイン』も刊行された井上新八さんに、特別に話を聞いた。(構成/ダイヤモンド社・秋岡敬子)

Q.人の頼みを断れず、気づいたら仕事が長引いてしまう。
「今日は早めに切り上げよう」と思っていたのに、つい頼まれごとを引き受けてしまい、残業コースに……。それが毎日続くと、「自分ばっかり損してる気がする」と感じてしまうこともあります。どうすれば人間関係をこじらせずに、自分の時間も守れるようになるのでしょうか?
まずは自分のキャパを可視化する
井上新八氏(以下、井上氏) ぼくは、メールのトップ画面で自分のタスクの残量がパッと分かるように管理しています。
例えば、「未読メール1件=タスク1個」として、その数が50を超えたら、もう新しい依頼は受けないと決めているんです。
こうして「自分の今の余力」がひと目でわかる状態にしておくと、相手に対しても冷静に線引きができるようになるんですよね。
何日、何週間ものあいだ、あまりにも忙しく、予定がいっぱいで、ハイライトのための時間を捻出できそうにないこともあるだろう。そんなときは、断れる予定がないか考えよう。
――『とっぱらう――自分の時間を取り戻す「完璧な習慣」』より
これは『とっぱらう』にも載っている戦術なのですが、タスクを自分が無理のない範囲で効率的に終わらせるのには効果的だと思います。
ぼくも若い頃は、「頼まれたらとりあえず引き受ける」というスタンスで働いていました。
でも、キャパを超えて仕事を抱えると、自分もしんどいし、結果的に相手にも迷惑がかかるんですよね。
だから今は、「限界を超えてまで仕事を受けない」と決めています。
そのうえで、「メール50件を超えたら断る」という仕組みを先に作っておくことで、気まずさもなく、キッパリ断れるようになりました。
前もって「断らざるを得ない仕組み」を作っておく
井上氏 もう一つ意識しているのは、その日のタスクは「翌日に持ち越さない」ようにしています。
メールの返信を含め「今日やらなきゃいけない分は今日終わらせる」ことを徹底しているんです。
こうすることで、翌朝にタスクが1つもないクリーンな時間が生まれ、自分が本当にやりたいことに集中すべき時間を確保できるようになるんです。
「断らなきゃ」と思うよりも、「断らざるを得ない仕組み」を作っておくことで、精神的な負担を軽減し、結果として全体の生産性を高めることにつながると思っています。

1973年、東京生まれ。和光大学在学中に独学でブックデザイン業を始める。大学卒業後は新聞社で編集者として働き、2001年にフリーランスのブックデザイナーとして独立。年間200冊近くの本をデザインしている。担当した書籍は『覚悟の磨き方』『自分とか、ないから。』(サンクチュアリ出版)『運動脳』(サンマーク出版)など多数。著書の最新刊は『時間のデザイン』(サンクチュアリ出版)。
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