AIが「使えるかどうか」は、人間側の「使い方」で決まります。
そう語るのは、グーグル、マイクロソフト、NTTドコモ、富士通、KDDIなどを含む600社以上、のべ2万人以上に思考・発想の研修をしてきた石井力重氏だ。そのノウハウをAIで誰でも実践できる方法をまとめた書籍『AIを使って考えるための全技術』が発売。全680ページ、2700円のいわゆる“鈍器本”ながら、「AIと、こうやって対話すればいいのか!」「値段の100倍の価値はある!」との声もあり話題になっている。思考・発想のベストセラー『考具』著者の加藤昌治氏も全面監修として協力し、「これを使えば誰でも“考える”ことの天才になれる」と太鼓判を押した同書から、AIの便利な使い方を紹介しよう。

AIを使って課題の「解像度」を変える
メールの作成、資料の作成や要約、英語の翻訳……などなど。AIを仕事に活用できるシーンは多々ありますが、業務の効率化や自動化だけに使うのは少々もったいない。
AIは、「頭を使う作業」に活用してこそ、その真価が発揮されると考えています。たとえば、解決が難しい課題を考えやすくすることにもAIは活用できます。
それが、技法その46「悩みの抽象化」。
これを使えば、そのままでは考えにくい難易度が高い悩みが、抽象度が変わることで考えやすくなります。
こちらが、そのプロンプトです。
〈悩みを記入〉という悩みを、わずかに、中程度に、高度に、上位概念化して、魅力的な「発想のお題」を3つずつ生成してください。発想のお題は「〇〇するにはどうすればいいか」や「新しい〇〇を考えよう」という文章タイプにしてください。
AIに問う「悩み」の内容によって、わずかな上位概念化でも良い問いが得られる場合と、かなりの上位概念化が必要な場合があります。そのためプロンプトには、「わずか」「中程度」「高度」と、抽象化のレベルを分けて出力する指示を入れました。
「コロナ禍による売上減少」という悩みを抽象化してみよう
ある程度具体的な課題感があって、その対応策も実施し、考えられる可能性はすでに潰しているつもり。だけど、その先に展望が見えにくいなと感じているならば、この技法が有効だと思います。
たとえば、コロナ禍を経て売上が落ち込んでいる自転車メーカーのケース。打破しがたい状況ですから、抜本的な改革や改善が必要かもしれません。悩みの上位概念化によって、向き合うべきお題を明確にしましょう。
〈当社は自転車メーカーです。コロナ禍において売上が伸びましたが、コロナ禍収束後に売上が落ち込んでいます。販売促進策を打ってはいますが、売上基調は回復する見込みがありません〉という悩みを、わずかに、中程度に、高度に、上位概念化して、魅力的な「発想のお題」を3つずつ生成してください。発想のお題は「〇〇するにはどうすればいいか」や「新しい〇〇を考えよう」という文章タイプにしてください。
悩みはAIに聞いてお題に変換。一度、素直に考えてもらいましょう。