ここは、意識して明るい気分を保とうとする人を見習ってみよう。少々の失敗やトラブルがあっても、「まあ、ちょっと運が悪かったかな」と気楽に思うのだ。

 そう簡単に気楽になれない人も、冷却期間を置いてから考え直す習慣をつけたほうがいい。ある程度時間がたって冷静になれば、それほど深刻になったり感情的になったりしなくても済む場合が多い。現実から逃げるのではなく、起こった結果はしっかり受け止める。そのうえで前を向けば、必要以上に思い悩まずに進んでいけそうだ。

魚を多く食べる人に
うつ病の発症率が低い理由は?

 体にとても良いといわれる魚の油は、うつ病にも有効であることを知っているだろうか。日本やカナダ、米国など、世界9カ国の魚の摂取量とうつ病の発症率を調べた結果、魚の摂取量が多い国はうつ病の発症率が低いという結果になった。報告されたのは1998年。以来、魚とうつ病を関連づけた研究が世界中で盛んに行われた。

 さまざまな研究の結果、魚に含まれているEPA(エイコサペンタエン酸)とDHA(ドコサヘキサエン酸)がクローズアップされた。どちらも体に好影響を与える不飽和脂肪酸の一種で、「オメガ3多価不飽和脂肪酸」といわれるタイプの油だ。

 EPAとDHAの健康効果のなかでも、うつ病に関連してとくに注目されているのは炎症抑制作用。とくにEPAは体の慢性炎症の発生を抑える働きにより、脳の神経細胞のダメージを防ぎ、うつ病を予防するのではないかと見られている。

 国立がん研究センターなどの研究によると、EPAを1日307mg摂取するグループは、200mg摂取するグループと比べて、うつ病のリスクが46%低く、DHAを1日123mg摂取するグループは、67mg摂取するグループと比べて、うつ病のリスクが58%低かった。加えて、DHAには脳の神経細胞を強化する作用もある。マルハニチロが鳥取大学などと行った共同研究では、DHAが含まれる魚肉ソーセージを食べると、認知機能や記憶力が高まると報告されている。