「学び直し」が資産形成の原動力に

大学院での勉強を始めると、まさに目からうろこ。自分の資産形成にも役立つとあって、やはり気合いが入ります

GSの同僚には、若いうちから資産形成に取り組んで成功していた人も多かったので、自分が出遅れてしまったことを深く反省させられました。

世界最大級の機関投資家で得た視座

その後、私は大学院に通学しながら、実質的な大手国策銀行であり200兆円超の資産を有する機関投資家の代表格「ゆうちょ銀行」の市場運用幹部として、それまでの経験を活かすことになります。

ゆうちょ銀行は世界的にも最大級の機関投資家ですから、仕事を通じて世界中のアセットオーナーやアセットマネージャーから情報を得られたことも貴重な経験でした。

巨額な資産運用の旗振り役として、しびれるような体験をさせてもらえたのです。

投資思考の体系化と実践

私がGS時代の激しい競争環境で培った投資の思考法の原形は、GS卒業後に本格化させた自分のための資産形成と大学院におけるファイナンス理論の学習により肉づけされ、さらには世界最大級の機関投資家の資産運用戦略改革への参画を介して実践し、体系化されました。

そうして現在の私は投資運用会社(ファンド)を運営し、現在進行形で投資的な思考を実践しているところです。

「最後に勝つ投資術」に込めた思考法とは?

私の初の自著『最後に勝つ投資術 【実践バイブル】 ゴールドマン・サックスの元トップトレーダーが明かす「株式投資のサバイバル戦略」』でお伝えしたい実践的な投資思考は、私が金融キャリアを通じて得た知見がもとにあります。

そこには個人投資家として知っておくべきこと理解しておくべきことが数多くあります。

市場の荒波を生き抜くための思考プロセス

そこで、さまざまな投資の局面においても、なんとか生き延びることができた私なりの考え方を述べるだけでなく、そこに至った思考の過程を言語化して、具体的にわかりやすく伝えることを試みています。

その思考法を身につければ、自分が経験したことのない投資環境に遭遇しても、適切に対処していけるはずです。

「実践者」としての強みと伝える力

私よりも高い収益を上げているデイトレーダーやプロの投資家は数多くいるのですが、私自身の特長として挙げられるのは、トレーダーの職務としても、プライベートの投資でも、自らがリスクテーカーとして収益を上げた実績があり、なおかつ人にものを伝えることが比較的得意なことです。

青くさい話ですがGSを辞めるとき、残りのキャリア人生は蓄積した自分の知識・知恵などを微力ながら社会や人様の役に立つことに使いたいと考えました。自著を書いた私のモチベーションも、そこにあります。

※本稿は『最後に勝つ投資術【実践バイブル】 ゴールドマン・サックスの元トップトレーダーが明かす「株式投資のサバイバル戦略』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。