「頑張っているのに、結果がついてこない」「必死に仕事をしても締め切りに間に合わない」同僚は次々と仕事を片付け、成果を出し、上司にも信頼されているのに、「なんでこんなに差がつくんだ……」と自信を失ったとき、どうすればいいのでしょうか?
ビジネススキルを発信するTikTokのフォロワーが20万人を超え『コンサル時代に教わった 仕事ができる人の当たり前』の著者である「にっしー社長」こと西原亮氏に教えてもらった「超優秀な人が秘かにしている仕事のコツ」を本記事で紹介します。(構成/ダイヤモンド社・林拓馬)

役員になる人は、社内でガス抜きをしてはいけない
役員としての立場にある人が「誰かに悩みを相談したい」「ガス抜きしたい」と思うとき、その方法について考えることはとても大切です。
会社で役員を務めていると、自分のしんどさを誰かに打ち明けたくなるのは当然のことです。
しかし、ここには注意が必要です。
まず結論から言うと、「自分のガス抜きに部下を使ってはいけない」ということです。
役員は会社の最上層に位置しており、自分より上の立場の人がいても1~2人程度です。
つまり、社内にいるほとんどの人は部下ということになります。
そのような状況で部下にガス抜きをしてしまうと、以下のような問題が起きる可能性があります。
部下の立場からすれば、上司の相談に対して否定的な意見を言うことは難しく、同調するしかありません。
「そうなんですね」と受け入れるしかないのです。
さらに、役員が愚痴を言う姿を見せてしまうと、部下からは「ネガティブな話ばかりする上司」として見られてしまいます。
結果的に、部下は同調を強いられ、役員本人は「受け入れてもらえた」と誤解し、これが成功体験となってしまうのです。
こうした構造は、役員が再び部下に悩みを打ち明け、「この前社長がこんなことを言っていたけれど、自分もしんどかったんだよね」などと話す場面を生み出します。
部下たちはまた「そうですね」「大変でしたね」と答えるしかなく、この悪循環が繰り返されます。
これは「最悪の負のループ」となり、組織全体に悪影響を及ぼしかねません。
このような状況がよくあるというのも事実です。
したがって、悩みやガス抜きを社内で行おうとするのは避けるべきです。
上の立場にある人ほど、社外でガス抜きする必要があります。
社内でガス抜きしようとすると、自然と部下が相手になり、彼らに負担をかけることになります。
それでも誰もそのことを指摘してはくれません。
「では、社長はどこでガス抜きしているのですか?」という質問がありました。
実際のところ私はどこにもその思いを吐き出していないことが多いです。
社長や役員はそのようなことを話さないのが普通です。
それが社長や役員という立場の「責務」であり、仕事の一部でもあるからです。
「それが辛いときはないのですか?」と問われたなら、答えは「それが辛いなら、役員は辞めた方がいい」ということになります。
つまり、役員とはもはや労働者ではなく、経営者の立場にある人間です。
取締役など役員の立場になると、原則として労働基準法の適用外になるなど、法的にも位置づけが変わってきます。
そのため、経営層としての考え方や行動も大きく変わってくる必要があります。
「自分にも悩みがあるから、誰かにガス抜きしたい」といった感情は、役員としての立場にはそぐわないという現実があるのです。
それが耐えられないなら、そもそも役員にならない方がいいと、私は考えます。
(本記事は『コンサル時代に教わった 仕事ができる人の当たり前』の著者、西原亮氏が特別に書き下ろしたものです)