パフォーマンスを最大化するために自ら創業
――普通のVCがやらないことを、あえてやっているわけですね。
小澤 そうです。だから、非常に逆説的なんですよ(笑)。
VCを創業して1年やってみて事業環境が大体分かってきた。経済環境や規制などの条件が変化する中で、自分としてはもっともっとパフォーマンスをあげたい。そこで、自分で会社を作ってエグジットまで持っていこう――簡単にいうと、こんなステップで事業会社設立の結論に至りました。
――極めてユニークな形だということですね。VC傘下の事業会社という形態は海外には事例があるのですか?
小澤 海外でもそれほど多くはないと思います。
欧米だと、「スタートアップファクトリー」というジャンルに入るらしいです。さかのぼると1990年代にアイデアラボという会社があったようです。最近のケースでいうと、「フラッグシップ・パイオニアリング」がヘルスケア領域で100以上の会社を設立し、その最大の成功企業はモデルナだそうです。
AI動乱期、自分も現場に出たい
小澤 まあ、ここまで色々と説明した後で、こんなことを言うのもなんですけど、本音を言うと、僕自身がまた現場に出たいんですよ。VC投資ってとてもやりがいがあって大事なんですけど、自分としては、やっぱり現場で手を動かしていたいんですね。
加えて、AIがこれだけ世界を変えつつあるじゃないですか。まさに動乱の時代。この先どうなるかわからないけど、とにかくがむしゃらに働いて、事業を成長させたい。その変化を最前線で体感したいという気持ちが芽生えてしまったんですね。
なぜコンサルティング会社を立ち上げたのか
小澤 これは、『凡人の事業論』でも説明した通りのフレームワークに沿って決めています。
まずは勝てる市場を探したんですね。新規事業は360度、どこに向かっても走り出せるので、勝てる可能性の高い市場を選ぶことが重要です。
Xにも投稿しましたが、市場選びにあたっては以下の条件を設定して、徹底的にリサーチをしました。
市場規模が3000億円以上、できれば1兆円以上
市場が伸びている
シェアが分散している(寡占市場ではない)
黒字の会社が多数存在
業界内のM&Aが多数存在
時価総額1000億円以上の会社が複数存在
Xには記載しませんでしたが、さらに、テクノロジーでイノベーションを起こせるという点も条件にしました。これに沿って、いい市場はないかと調査したのが最初ですね(中編に続く)。