若者で海外旅行する人・しない人が二極化
まず、「若者の海外旅行離れの実態」として、法務省の統計なども踏まえた全体像を把握したい。
・1996年~2016年の20年間で、そもそも20代の人口が36.1%減った。これにほぼ連動し、20代の出国者数は39.1%減った。出国率は1.2%減。
・一方、20代の海外旅行の未経験率は2010年が41.7%だったが16年が51.8%に増えている。
・出国率は大きな変化がない一方、海外旅行の未経験率は増加しているので、若者で海外旅行する人・しない人の二極化が進んでいることが分かる。
次は、令和トラベルが18〜29歳の男女1100人を対象に行った海外旅行に関する意識調査だ。海外旅行に「行きたい」群が50.7%であるのに対して、「行きたくない」群は37.2%だった。
そしてインタビュー調査なども実施した結果、「行きたい派」と「行きたくない派」の人物像が浮かび上がったという。それぞれの特徴は下記のとおり。
「行きたい派」
・娯楽費は月1万〜5万円で、給与は自分に使える
・都会出身(実家暮らし?)
・SNSを日常的に使っている
「行きたくない派」
・娯楽費は月1万円以下で、給与は生活費や奨学金へ回す
・地方出身
・SNSを日常的に使っていない(「SNS疲れ」か)
「行きたい派」と「行きたくない派」に経済格差
「行きたい派と「行きたくない派」の可処分所得(自由に使えるお金)を比較すると、その差は一目瞭然だ。「行きたい派」は「1万~2万5000円」が33.5%、「2万5000円~5万円」が30.4%いるのに対して、「行きたくない派」は「1万円未満」が40.7%を占める。
日本はLCCなど若者向け交通手段の普及率が諸外国に比べて低い。そのため、旅行費用は「行きたくない派」にとって大きな障害になっていると言えるだろう。
ところが、「お金があれば海外に行きたいのか」というと、そうでもないらしい……。「行きたくない派」は、自由に使えるお金があっても「海外に興味はない」と答える人が69.5%を占める。
もはや海外旅行は「自分には関係ないもの」と考えるような、格差意識が生じているのかもしれない。