海外旅行に「行きたい派」とSNSの関係性
さて、ここからは海外旅行に行った若者を対象にしたアンケートから、「海外旅行とSNS」について深掘りしていこう。旅行会社や航空会社など、若者に海外旅行をアピールする立場の関係者にも参考になりそうな内容だ。
まず、海外旅行をどうやって調べるか。その情報源は「今は当然パンフレットではなくてネットなんでしょう」と思う中高年は多いだろう。しかし、グーグル検索をイメージしていたら、それも古い。イマドキの若者は、InstagramやX(旧twitter)、TikTokなどのSNSで検索しているのだ(アンケート回答者の63.4%)。さらにYouTubeも同43.2%と多い。
一方で、旅行会社のウェブサイト(同43.0%)やテレビ番組での紹介(同30.4%)といった従来型の情報源も引き続きニーズはある。つまり、旅行の情報源は段違いに多様化している。旅行会社や航空会社は、新旧のメディアを駆使して消費者を飽きさせない努力が必要だといえるだろう。
また、他者のSNS投稿を見ると「自分も行きたい」「うらやましい」などと大きな影響を受けている。旅行中あるいは旅行後にスマホで撮った写真を「SNSに投稿したい」と回答する人も多い。そのため、いわゆる「映え」スポットの紹介などは欠かせないといえるだろう。
注意が必要なのは、“宣伝詐欺”は絶対NGだ。今はSNSで何でもすぐに拡散される。「公式アカウントの写真はきれいな海だったのに、行ってみたら実際は汚かった」といった悪評も伝わりやすい。過大広告を避け、ありのままを伝える必要があるだろう。
![図表:SNSによる海外旅行の行動変容(3)[旅アト]](https://dol.ismcdn.jp/mwimgs/a/5/600/img_a5886201bf5e00ba0a5699d7014bc70e259625.jpg)
若者に昔の価値観を押し付けてはいけない
その他、「行きたい派」でも「治安やトラブルが心配」という声は多い。旅好き中高年は、「トラブルも含めて旅を楽しむってことでしょう!」なんて言いそうだが、それは昔の価値観の押し付けであり、今の若者に対して無責任だ。海外旅行にもっと行ってもらうためには、不安を解消する施策が不可欠といえよう。
また、SNS重視だからこそ、SNS上の情報ばかりに偏りがちな側面はあるだろう。韓国やタイ、ハワイなどの定番観光地が選ばれやすい一方、発信が少ない地域は見向きもされない傾向がある。