海外に行きたくない派は、国内旅行への関心も薄い
さて、今度は「行きたくない」派の心情も探ってみよう。「海外旅行に行きたくない」理由は、「興味がわかない」という意見が40.0%で最も多いが、「治安や病気、トラブルが不安」も34%いる。
ちなみに海外に行きたくない派は、国内旅行への関心も薄い。行きたい派は、8割以上が直近1年内に1回以上、国内旅行している。ところが、行きたくない派は、6割が国内旅行にも一度も行っていないのだ。
つまり「行きたくない」派は、旅行そのものへの関心が非常に低い。彼らを引っ張り出すなら、まず旅行の魅力から伝えるアプローチが有効だろう(余計なお世話かもしれないが……)。
シンガポール航空やエミレーツに「学割」あり!
最後に、若者向けの旅行施策について、まとめたい。
実は一部のエアラインには、「学割」がある。特におすすめは、キャセイパシフィック航空(香港)、シンガポール航空、エミレーツ航空(UAE・ドバイ)だ。いずれもフルサービスキャリアで日本人に人気のエアライン。学生ならこの割引や特典制度を使わない手はないだろう。
一方、ANAやJALは国内線の学割はあっても、国際線にはない。LCCのピーチとZIPAIRなどが若者向けエントリーブランドの位置付けだ。
旅行会社の若者向けプロモーションでは、例えば令和トラベルが旅行系予約アプリ「NEWT」において、「たびガチャ」キャンペーンを定期的に実施している。スマホゲームのように気軽に参加でき、最大数万円ものポイントが当たる。
若者の旅行に対する意欲は二極化し、「自分には関係ない」と諦める若者も珍しくないことが分かった。これには旅行業界関係者も強い危機感を持っており、例えばJALの鳥取三津子社長は「圧倒的に海外へ若者が行かなくなっている」「(海外旅行の)1回目がない、というのは非常に日本にとってマイナスではないか」などと発言している(AviationWire、2025年1月8日付)。
日本のパスポートがあれば約190の国・地域にビザなしで入国できることは、ものすごい強みだ。この強みを生かせるよう、旅行や航空各社はもっと若者向けの施策に注力すべきだろう。