サイゼでカスタマイズ朝食、400円でまるで高級レストラン

  私が、今回訪れたのは東京都江東区の「大島ピーコックストア前店」だ。

 午前9時、すでに数人の先客がドリンクバーを囲んでいる。新聞を読みながらスープをすすっている高齢男性、ラップトップで何か作業するビジネスマン風の女性。決して若者ばかりではない。

 朝サイゼは試験導入ながら、すでに静かな常連客を生んでいるようだ。

 この店では、朝食用のメニューは、カスタマイズすることを「推し」ていた。

「朝サイゼ」と「朝マック」の決定的な違い…ヤミツキ確実なフォカッチャのアレンジとは?著者撮影(以下同)

 私がまず試みたのは、小エビのサラダをフォカッチャにはさむカスタマイズ。エビのぷりっとした食感、レタスのシャキシャキ感がフォカッチャの柔らかさと重なり合う。

 ここからはサイゼリヤのおすすめにはないのだが、遊び心をさらに解放して、自分流に付け加えたいと思った。ホットソースだ。ホットソースをかなり多めにぶちまけてみた。味は一気にスパイシーへと傾く。強烈に目が覚める味でコーラと一緒に食べた。テンションが一気に上がった。

 普段なら、すでにお腹いっぱいなのだが、もうひとつ試みたことがある。

 フォカッチャをデザートとして捉えたのだ。フォカッチャに、ミルクジェラート税込250円を合わせる。ジェラートは冷たくて滑らか。フォカッチャは温かくて柔らか。

 甘味と熱のコントラストが口内で弾けるのは想像できたが、それだけでは終わらせず、オリーブオイルをたっぷりたらし、岩塩をガシャガシャふる。塩味がジェラートの甘味を上品に強調し、オリーブオイルがコクと香りを重ねる。

 高級レストランのデザートに匹敵する味の奥行きが150円のパンと250円のジェラートで出現したのだった。コーヒーとぴったりだった。

 マクドナルドの朝マックなど、一般的な「朝食」は完成された商品を受け取るスタイルだろう。選択の余地は少ない。

 だがサイゼリヤの朝サイゼは、未完成のパーツを並べ、自分で完成させるスタイルだ。これは家庭料理と外食の中間にある体験で、味をつくるのは客自身。店は素材と舞台だけを提供する。しかも、安い。