エンド・ツー・エンドのアプローチを阻む壁
──デザインを起点に一気通貫のサポートを進めているのは、NTTデータのようなインフラやシステムに強い会社に、サービスデザインまで一気通貫で任せたい、という企業側のニーズがあるからでしょうか。
「体験を起点にビジネス全体を変革したい」というニーズそのものはありますが、実際にフラッグシップといえる事例はまだなくて、これからという段階です。
レガシーな企業の場合、まだまだ窓口や承認プロセスがバラバラなことが多いので、デザイナーがフロント部門から提案するにせよ、SEが情報システム部門から提案するにせよ、どこかでサイロ化の壁に当たります。最終的にはそこをつないでいくのが私たちの役割ですが、現実的にはそこまで入り込めないことも少なくありません。
しかし、それぞれを別の会社で担当すると、ロスが生まれるし、一貫性を保つことも難しくなります。協業パートナーを入れるにしても、リードする存在は必要なので、契約が細切れになっても全体として一貫性のある体験価値を生み出せるように、かなり工夫しながら進めている状況ですね。
──どのように打開していきますか。
実は海外ではエンド・ツー・エンドのプロジェクトの成功事例がかなり出ています。特にイタリアのスタジオでは、デザインチームが真ん中に立って、戦略策定からサービスの企画開発、システム開発や保守運用まで一気通貫で支援するプロジェクトをたくさん手掛けています。
イタリアのメガバンク・UniCredit(ウニクレディト)社のプロジェクトが代表例で、モバイルバンキングなどのサービス開発やブランディング、システム刷新などを成功させました。イタリアは日本同様に縦割りのカルチャーが強い国ですから、学ぶべき点は多いです。
