グローバルなチームで、ローカルな実装をやり切る
──同じTangityブランドでも、各国ごとにかなりビジネスが違うのですね。
まったく違います。NTTデータってものすごくローカル統治が強い会社なので、ビジネスモデルもそれぞれで、すごく個性があるんですよ。
例えばイタリアは、今話したように戦略設計からサービス開発、システム導入や運用までエンド・ツー・エンドの実績が豊富ですし、スペインやポルトガルは広告やデータドリブンなマーケティングが強い。昨年(24年)からTangityにジョインしたヨハネスブルグ(南アフリカ)のスタジオはテレビCMのような動画コンテンツ制作が得意です。
ケイパビリティの異なるスタジオが世界中に分散していて、成功事例や課題の共有、知見の交換も活発なので、自由自在に相互補完できるのがポイントです。各国のスタジオがコラボレーションするプロジェクトも昨年ぐらいから一気に増えました。イタリアのチームが英国やスペインのサービスデザインをサポートしたり、逆にイタリアのプロジェクトにポルトガルのチームが加わって、ユーザーグロースにつながるタッチポイントのつくり方を一緒に考えたり……。
私たちも今、米国とのコラボレーションプロジェクトを進めていて、日本企業と北米のスタートアップの協業をコーディネートしたりしています。
──グローバルな支援体制があるのは、日本の大企業にとっても頼もしいですね。
そこは私たちの大きな強みです。すでにNTTデータのビジネスは海外の方が完全に大きくなっていて、インフラでもサービスでも戦略策定から開発、実装、さらには改善や保守運用まで、世界各地でやり切る体制ができています。間をつなぐ過程でさまざまなソリューションが必要になりますが、そこはNTTデータがもともと得意な部分ですから安心して任せていただけます。こういうエンド・ツー・エンドの事例を早く日本でもつくりたいと思っています。
デザインっていうとふわふわしたイメージがあるかもしれませんが、Tangityの場合は、実装から運用までしっかり伴走できる。海外の成功事例も踏まえながら、このあたりを日本企業にもしっかり伝えていきたいですね。

──インフラありき、システムありきではなく、コンサルティングからしっかり入っていくと。
そうですね。以前は、UIでいろいろな機能やシステムをつなぎ合わせていくという意味で「オーケストレーション」という表現をよく使っていたんですが、「体験価値を高める」という視点に立てば、ただ仕組みとしてつながっているだけでは十分ではありません。提供価値を最大化しながらアジリティーを高めるには、やっぱり全体をもっと有機的につなぐコンサルティングが要ります。ここはNTTデータとしてもかなり投資して内製化している部分ですし、Tangityもその一角を担っています。
システムの「要件」や「仕様」という話の一つ手前の段階で、顧客はもちろん、従業員も含めたユーザーが、どこでどのようにメリットを享受できるか。目指すゴールの「手触り感」をしっかり示しながら、それを支えるサービス、プラットフォーム、インフラなどを最適な形につなげていく。そんな価値提供の在り方を追求していきたいと思っています。