
いま、財務省批判をする人々の理論的支柱となっている、森永卓郎さんのベストセラー『ザイム真理教』。財務省の増税路線や徴税権力、政治家、マスコミへの懐柔工作を厳しく指弾し、優雅な天下りや厚遇されるキャリア官僚の姿を描いた一冊だ。しかし実際のところ、財務省の何が批判されるべき点なのか。今一度『ザイム真理教』の主張を冷静に検証する。※本稿は、岸 博幸『ザイム真理教と霞が関の真実 余命8年の元官僚が命を賭ける日本再生の処方箋』(宝島社)の一部を抜粋・編集したものです。
財務省が批判される
ポイントをあらためて検証
森永さん(編集部注/経済アナリストの故・森永卓郎氏)に言わせると、財務省は「カルト教団」であり、国民と政治家を洗脳する「悪の集団」なのだという。
もちろん、この言い回しは森永流の煽りも入っているのだが、財務省の何が批判されるべきなのかという点について、主なポイントとしては3つほどある。
(1)この30年、緊縮財政と増税を主導し、日本を貧困化させた
(2)政治家とメディアを洗脳し、ときには徴税権力を行使して批判を封印させた
(3)国民に増税を押しつける一方、財務官僚は高給と天下りで楽園生活を享受した
これらは果たして本当なのか。僕なりに検証を加えてみる。
まず、1つ目については、半分は正しいが半分は違うと思う。
財務省が増税によって回復過程にあった景気を腰折れさせてきたのは事実である。たとえば、景気回復の兆しが見えてきた矢先の1997年に、橋本龍太郎内閣が消費税増税を行ったことで、再び経済は不況に陥った。