森永さんはベストセラーとなった『ザイム真理教』を当初、付き合いのあったいくつもの大手出版社に持ち込んだが、軒並み断られたという。そのとき、ある出版社からはこう言われたというのだ。
「本当はぜひ出したいのですが、社長決裁で却下されてしまいました。出版不況のなか、もし税務調査に入られたら会社の経営が持ちません。どうぞご理解ください」
この話を信じないわけではないが、僕は単に、出版社の編集者たちが過去の伝説を恐れすぎているだけなのではないかとも思っている。
過去に、厳しい反・財務省キャンペーンを展開した報道機関に税務調査が入った事例は事実としてあったようだが、いまや、そうした手法で批判を封じ込められるような時代ではない。そのことは財務省がいちばんよく知っていると思う。
過剰な接待問題と
天下りシステムの実情
それよりも、財務省の軍隊的な「ご説明」を受ける側の問題のほうが、大きいように僕は思う。政治家、有識者、マスメディアの記者の多くが、財務省の説明に対して物分かりがよすぎるのである。
悪く言えば勉強不足、知識不足で、財務省のロジックの問題点を自分で考えることもせず、財務省のご説明を受け入れてしまっている。
だから、財務省の記者会の新聞記者が書く記事は、ほとんどが財務省のご説明の垂れ流しである。説明を受ける側があまりに政策のリテラシーが低いことが、財務省のご説明のすごさを結果的に補強してしまっているのが現実ではないだろうか。
最後のポイント。国民を貧困に追いやった一方で、財務官僚たちが相変わらず恵まれた生活を送っているというのは、当たらずといえども遠からず、といったところかもしれない。実際のところ、財務官僚の天下りシステムはいまも存在しているし、強大な権限もそのままだ。
1998年、当時の大蔵省は戦後最大とも言える「試練」に直面した。それが、過剰接待問題である。
同省幹部らが、銀行など金融機関から連日のように飲食をともなう接待を受け、そのうち新宿区歌舞伎町にあった「楼蘭」という店が「ノーパンしゃぶしゃぶ」なる形態であったことから、とりわけ大きく報道された。