
誰もが憧れる職業、というイメージの「キャリア官僚」。一流のエリートが集まる華々しい印象の仕事だが、実は近年「若手官僚の早期離職」が問題になっている。以前から霞が関のブラックな労働環境は話題になってきたが、それも改善してきている。では、早期離職の背景には一体何があるのだろうか――?※本稿は、岸 博幸『ザイム真理教と霞が関の真実 余命8年の元官僚が命を賭ける日本再生の処方箋』(宝島社)の一部を抜粋・編集したものです。
海外留学した官僚がMBAを取得後
すぐに民間企業へ転職
今年(2025年)、キャリア官僚(総合職)の離職率についてのニュースがあった。人事院の調べによると、2014年度に採用されたキャリア組約600人のうち、その後10年間で23.2%が退職しており、早期退職する傾向は年々強まっているという。
正確なデータでは語れないが、僕のいた時代の通産省の場合、そもそも入省5年以内に退職するという人はほとんどいなかったし、民間企業への転職もレアだった。
当時と比べると、霞が関のブラックな環境は現在、かなり改善されているはずだが、若手官僚の早期離職や志願者数減の傾向はむしろ強まっている。時代背景が違うために一概に比較はできないが、やはり官僚という職業の魅力が相対的に薄れてきていることは、おそらく間違いないのだと思う。
優秀な人材の「官僚離れ」はいまに始まった話ではない。僕の肌感覚では、大蔵省の過剰接待問題が批判され、省庁再編の流れが決まった1990年代には、すでに霞が関で「若手の早期離職」が問題になっていた。
たとえば、当時具体的に問題視されていた事案として、公費留学の制度がある。