「反・財務省勢力」には
チームを組んで「布教」工作

 それで財政の規模が拡大しても、時期を見て増税して財政を均衡させればいいと考えているのであろう。財務省の現実は、緊縮財政ではなく、拡大均衡路線と言える。

 次に2つ目のポイント。森永さんは、財務省の「洗脳工作」についても語っていた。

 たとえば、増税に反対したり、減税に賛成したりする野党議員、有識者、メディア関係者がいたとする。財務省は、そうした「反・財務省勢力」を目ざとく発見すると、チームを組んでレクチャー(森永さんの言葉では「布教活動」)攻撃をかける。

 そこでは、まず財務省の政策を否定するような発言をやめてもらうことが第1目的。そして、十分に説明をして今度は自分たちの主張に沿った論陣に転向してもらう。これが第2目的だ。

 僕が通産省にいた時代も、確かに「反・大蔵省」の新聞記者や政治家などに懐柔工作を行っているという話はよく聞いた。

 大きな省庁では、同じ省内でも人によって意見がバラバラ、ということは珍しくないのだが、その点、大蔵省、財務省は軍隊のように意思統一がなされており、「オレは財務官僚だが、増税には反対さ」などという人間は、上から下まで見渡しても見たことがない。

 経産省も、必要に応じて要注意とされる政治家のもとに出向き、政策を「ご説明」するということはあったが、財務省のようにマメな「布教活動」をしている省庁はなかった。

税務調査を恐れて
『ザイム真理教』の出版を拒絶

 たとえば新聞記者であれば、特別なネタを提供することによって批判を書かせないようにしたり、どうしても言うことを聞かなければ、「税務調査」という伝家の宝刀を抜くこともある、と森永さんは言う。

 僕自身は、財務省からダイレクトな「布教活動」を受けたことはない。だから、財務省と敵対するとどうなるか、体験的に語ることはできないのだが、少なくとも現在は、財務省を批判したら高確率で税務調査に入られるとか、政治家が財務省の言いなりにならないとスキャンダルを流されるといった、露骨な意趣返しが行われるとは思えない。