確かにシステム上、その構造は僕らが仕事をしていた時代と変わっていない。だが、いまの若手に「あと30年で天下りできるぞ」などと言っても、何のインセンティブにもならない。そんな価値観はすでに消滅しているのだから。
民間企業のように、大胆に成果主義の報酬体系を導入できればいいが、公務員の給与体系を簡単に変えることはできない。そうである以上、若いうちから彼らのポテンシャルを評価し、能力に見合った適切な仕事をさせていくような改革が必要になっているはずなのだが、そうしたキャリア形成の問題にいまの省庁はしっかりと向き合っていない。
政治家が変革へ動かないかぎり
官僚改革はできっこない
優秀な人材にソッポを向かれ、空洞化が進む霞が関の現在は、危機的状況である。
その状況に対して何ができるのか。森永さんもいくつかの処方箋を提案していたが、僕は官僚を取り巻く状況を変えるためには、まず政治が変わらなくてはならないと考えている。
官僚の能力をどう使い、引き出すか。これは官僚が自分だけで考える問題ではなく、政治家が問題意識を持って取り組む課題である。そして、政と官の歪んだ関係や不必要な忖度によって生まれる不祥事をなくしていく必要がある。
森永さんは、キャリア官僚の報酬体系を一般の国家公務員と切り離し、3倍程度にアップさせる案(そのかわり天下りは全面禁止)や、調査研究のための広報滞在費の支給、労働基準法からの適用除外、経済財政諮問会議からの財務官僚排除などを挙げていた。
僕はこのなかで、「労働基準法からの適用除外」については賛成だ。政府が率先してホワイト化する必要はない。ちょっとブラックでも、若手のころからやりがいのある仕事をやらせるなど、まず仕事のやり方自体を変えるべきだ。
公務員給与の問題は、給料を上げるにしても、いきなり3倍にするのは不可能だ。人材確保のため、新入社員の初任給を大幅アップさせた結果、中堅どころの社員が不満を募らせ辞めてしまった企業があるように、給料3倍論で組織内の整合性を取るのは不可能で、報酬体系を変えるには20年、30年くらいの時間がかかる。