クランクインからずっと意識している
「心臓の位置を5センチ上げる」
その明るさや元気さを表現するために心臓の位置を5センチ上げることをクランクインからずっと意識しながら演じています。
心臓が5センチ上がったら、心が浮き立つ感じがしませんか。急にテンションが上がった状態が健太郎は常に続いていると想像して。あぶなっかしさや軽さも持ち合わせていて、何かこう突拍子もないことを言い出しそうな空気が常に流れていることを意識して健太郎を演じていました。
皆さんの心のなかに空気を送り込む存在でありたいと思っていました。どんなときでも『元気出していこう』とみんなに語りかけるような存在で、それは登場人物のみならず、視聴者の皆さんにも向けている気持ちでした。一日を元気に過ごしてもらえたらいいなと思っていました」
心臓が5センチ上がっている。ユニークな表現だけれど、説得力がある。高橋さんの演技がとても端的なのは、彼なりに言語化し徹底することで、曖昧さを回避しているからかもしれない。
年齢や環境の変化を感じさせるために体重を増減し、見た目の変化で健太郎の状況の変化を感じさせるように腐心した。
これから徐々に年齢が上がっていき、5、60代まで演じることになる。これも初めての挑戦だ。
「これまでは、25歳が演じた最高年齢で、等身大の役しかやったことがなく、健太郎でこれまでの最高年齢を演じることになると思います。
役作りで、大人の男性を観察するようになりました。例えば、疲れてきたときの仕草。大人の男性は肩が凝ったとき、肩を反対の手で抑えてほぐすんですよ。若い人はぐるぐる回すのですが、ぐるぐる回せないほど固まっているから抑えるのかなと思っています。
メガネの直し方も違います。若い人はブリッジを指で触るけれど、大人の男性は外側を触るんです。実際に年をとることができないので、それくらいしかアプローチの仕方がなくて、正解がわからないなかでできることをやるしかない。いままでの引き出しでは通用しなくて新しいものを取り入れようと思うことが面白いです」