
連続テレビ小説『あんぱん』(NHK)で、けんちゃんことメイコの夫・辛島健太郎を演じる俳優・高橋文哉さん。博多弁の芝居から年齢を超えた演じ分けまで幅広く挑みながら、“底抜けの明るさ”をどう表現したのか。その裏にある繊細な役作りや、初めての朝ドラで感じたことを聞いた。(聞き手・構成/ライター 木俣 冬)
短い出番でも
最適解を選択する論理派
高橋文哉さんは19年「仮面ライダーゼロワン」で初の21世紀生まれの主演仮面ライダーとして俳優デビュー。近年はドラマ『フェルマーの料理』では理数系の料理人役、映画『少年と犬』では少し影のある役など幅広い役を演じてきた。
『あんぱん』ではコメディリリーフ的な存在に。彼がいると場が明るく和やかになる。
役は天然キャラのようだが、演じている本人はいい意味で計算している論理派の印象。取材会の話から、短い出番のなかで最適解を選択してきたことがわかる。
高橋さんは取材用の席につくと、「寄せますね」と遠慮して端に置いていた記者たちのテレコを自分の
傍らに寄せた。そして、各記者が質問するたび「高橋です。よろしくお願いします」と挨拶していた。気遣いのある礼儀正しい人だった。
朝ドラ出演が決まった24年はちょうど、芸能界デビュー5周年で、節目感を覚えたという。
「放送100年の節目に当たる朝ドラに、節目を迎える僕が出演できることが嬉しく思いました。
朝ドラは、大きな目標の一つでした。『あんぱん』出演のお話をいただいたとき、率直に嬉しかったですし、緊張と不安を感じながら現場に来たことを覚えています。