「ふるい落とし」期間をどう乗り切るか

「買付代金即日徴収規制」が発動されている期間は、いわば信用取引という強力な武器を持った投資家が参加できない「ふるい落とし」の期間ともいえます。

この状況を理解し、冷静に相場を観察することが、個人投資家にとって大きなチャンスにつながります。

この期間は、純粋な現金の需要と供給によって株価が形成されるため、一時的に値動きが落ち着いたり、過熱感が少し冷めたりすることがあります。

もし、株価が少し調整するような場面があれば、それは規制解除後の上昇を狙う絶好の「仕込み時」になる可能性があります。ただし、もともと人気が非常に高い銘柄ですので、慌てて高値で飛びつかないよう、指値注文を活用するなど冷静な対応を心がけましょう。

規制解除のタイミングを狙い撃て

この規制は永続的なものではなく、一定期間を経て解除されます。そのタイミングこそが、最大の狙い目です。

規制解除の具体的な日付は、証券会社のウェブサイトや取引所の情報で事前に告知されますので、必ずチェックしておきましょう。

なぜなら、規制が解除された途端、これまで参加できなかった信用取引の買い注文が一気に流入してくる可能性が非常に高いからです。いわば、今まで我慢していた投資家たちのエネルギーが爆発するようなもので、出来高が急増し、株価が再び大きく上昇する起爆剤となり得るのです。

この「第2ラウンド」とも言える上昇の波に乗ることが、IPO投資の醍醐味の一つと言えるでしょう。

注意点:地合いと「売り時」の重要性

ただし、注意点もあります。規制が解除されれば必ず株価が上がるとは限りません。株式市場全体の地合い(雰囲気)が悪ければ、期待したほどの買いが入らないこともあります。

また、多くの投資家が規制解除を狙っているため、解除後に利益確定の売りが集中し、株価が乱高下するリスクも念頭に置く必要があります。

大切なのは、事前に「いつ売るか」という自分なりのルールを決めておくことです。「初値から30%上昇したら半分売る」「規制解除後の高値を更新できなかったら売る」など、具体的なシナリオを描いておきましょう。

熱狂に惑わされず、冷静に利益を確定させることが、次の成功へと繋がるのです。初値が付かないほどの人気IPOは、こうした特殊なルールを理解し、戦略的に立ち回ることで、通常の株式投資では得られない大きなリターンをもたらしてくれる可能性を秘めています。

※本稿は、『87歳、現役トレーダー シゲルさんの教え 資産18億円を築いた「投資術」』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。