この大学の自慢のひとつは、学生の3人に1人がファースト・ジェネレーションだということです。ファースト・ジェネレーションとは、両親が大学に行っておらず、自分が家族の中で初めて大学に通った学生のことです。つまりアリゾナ州立大学は、進学格差の解消にオンライン大学が役立つことを証明しています。
「排除」ではなく
「成功」に重きを置く
アリゾナ州立大学の教育理念が素晴らしく、その一部を引用すると、「measured not by whom it excludes, but by whom it includes and how they succeed」(だれを排除するかではなく、だれを受け入れ、その人々がどのように成功するかによって評価する)とあります。
普通の大学は学ぶ資格のない学生を排除(exclude)しますが、アリゾナ州立大学は学生が成功できるように受け入れる(include)ことに重きを置くことを宣言しているのです。
このコンセプトこそ、オンライン大学の特徴を雄弁に語っています。教室の物理的な制約がないため、勉強したい人すべてに学びの機会を提供できるわけです。
僕たちはアリゾナ州立大学を重要なモデルのひとつとして参考にしながら、ZEN大学をつくっています。先ほど話したように、大学進学格差を解消して、多くの人に学びの門戸を開くことに加えて、オンライン教育の利点を活かして、質の高い授業を安価で提供する。単にだれでも入学できるというだけでなく、大規模だからこそ可能となる高品質な教育を提供するという点が重要です。
ZEN大学には通学が必要なキャンパスも、スクーリングもありません。大学卒業資格を得るために必要な科目はすべてオンラインで授業を提供します。実技的な科目についてもオンラインで対応します。
1学年3500人、4学年全体で1.4万人という規模を見込んでいますが、これだけの規模でも、まだまだ足りません。学生数が増えれば増えるほど、質の高い教育コンテンツの開発や、学生のサポート体制に投資することができるのです。
日本では「実学教育」の
学校の地位が低すぎる
N高の実績があったとはいえ、高校と大学とはまったく違う世界であり、ZEN大学を設立するのは険しい道のりでした。