
教育現場にありがちな長時間労働と低待遇??。そんな従来型の教育現場の課題に対し、ネットの高校・N高では「分業制」「シングルマザー採用」「リモートワーク」を導入し、教育の質と職場環境の両立を図っている。教員免許の有無にとらわれない、教育現場の新しい働き方とは?※本稿は、川上量生『教育ZEN問答 N高をつくった僕らが大学を始める理由』(中央公論新社)の一部を抜粋・編集したものです。
分業制が生んだ
ホワイトな労働環境
N高に関わる採用は毎年100~200人ほどです。ここには教員職以外の職種も含まれます。
スクーリング時に担当教科の指導をするには教員免許が必要ですが、N高ではそれ以外にも教える仕事がたくさんあります。そういった分野では、教員免許を持っていない人も大量に採用しています。比率で言えば、60%の職種は教員免許を必要としません。
たとえば、教員免許は持っていないけれど、塾や予備校で講師経験がある人もいます。
あるいはプログラミングやデザインなどの専門性の高い授業については、現場で活躍するプロフェッショナルを講師として招聘するなど、外部の知見を積極的に教育に取り入れています。そういった人のほうが、教員免許を持っている人よりも教え方が上手かったりする。教職員の質を高めるためには、免許を持っていないプロフェッショナルを採用したり、招聘したりすることが不可欠です。
強調しておきたいのは、N高では、従来型の学校のように、教員がすべての業務を1人でこなすのではなく、業務を分担する分業制を採っていることです。これは、教員の負担を軽減し、より専門性の高い業務に集中できるようにするための取り組みです。