東大安田講堂Photo:PIXTA

KADOKAWAとドワンゴが設立した「学校法人角川ドワンゴ学園」が運営する「N高グループ」は、“ネットの高校”を掲げる通信制高校群。2016年の開校以降、在籍生徒数は伸び続け、2025年3月末時点では3万人を超えている。大学合格実績も着実に伸ばしてきた「N高」だが、その“真の強み”とは何なのだろうか――。※本稿は、川上量生『教育ZEN問答 N高をつくった僕らが大学を始める理由』(中央公論新社)の一部を抜粋・編集したものです。

在籍者数の増加にともない
大学合格実績も年々上昇

 在籍者数の増加にともなって、大学への合格実績も年々上向いています。ただしN高は、大学への合格実績だけを追い求める学校ではありません。僕たちが生徒に提供したいのは、気休めでもなく励ましでもなく、もっと実際に役に立つ、世の中で戦える武器です。それらを手に入れられるよう、すべてにおいて実践的な授業プログラムをつくっています。

 その意味では、大学への進学は世の中で役に立つ強力な武器のひとつです。それが必ずしも正しいとは思いませんが、大学をめざしたっていい、手に職をつけたっていい、どちらに対しても十分な手段をN高は提供し続けています。

 とはいえ、大学合格者数を競う価値観が世の中にある以上、僕らは大学進学についても結果を出すつもりでN高を運営してきました。

 2024年度の合格実績を見ると、東京大学に過去最多となる7名が合格し、国公立大学は東京大学、京都大学を含めて189名、国公立と私立の医学部医学科に13名、早稲田・慶應に82名、関関同立(関西圏の難関私大グループ。関西、関西学院、同志社、立命館)に291名が合格しています。