口コミ・期間限定・行列…全部罠かも?いらないのに“買わされるマーケティング”とは写真はイメージです Photo:PIXTA

「話題沸騰中!」「期間限定!」「行列のできる店!」。そんな言葉に心が躍り、気づけばカートに商品を入れてしまったことはないだろうか?その行動、脳が欲しいと勘違いしただけかもしれない。巷には、「買わないと損する」と錯覚するような仕掛けが溢れている。私たちの購買意欲を操る、巧妙なマーケティング手法に迫る。※本稿は、川島隆太、岡田拓也、人見徹『欲しがる脳』(扶桑社)の一部を抜粋・編集したものです。

世界中の人びとも
口コミで物事を決めている

 あなたは何かを選ぶとき、どんな情報を一番参考にしますか?色々と自分で調べて迷っていたけれど、友人のおすすめを聞いたらあっさり決まった……というような経験はないでしょうか。

 こういった口コミの影響力については、もはや語るまでもないでしょう。少し古いデータで恐縮ですが、2012年の世界56カ国からなる大規模調査の結果、口コミ(知人からの推奨)を信頼する人は92%にのぼり、これはあらゆる広告媒体の中でトップでした。

 では、その口コミ情報を受け取ったときに脳内では何が起きているのでしょうか?

 ヒトは信頼する人物からの情報に対しては脳の報酬系ネットワークが反応しやすいことが明らかになっています。腹内側前頭前野や線条体といった報酬に関わる領域が活性化し、「これは価値があるかも」というポジティブな予感が沸き上がってきます。

 そう、信頼する人物の意見はそれだけで安心感があり、報酬となるのですね。その意見が自分と一致しているならなおさらです。

 では、他人の評価と自分の意見が一致しない場合はどうでしょう。