ジュースなどでも、「イチゴ味」を飲めば舌は真っ赤、「オレンジ味」ならオレンジ色に染まるのが普通だったが、今とは違ってその頃は「そうならないと、イチゴ味やオレンジ味って感じがしない」ということで逆に不評だったりした。
また、昭和中期には「チクロ」が問題になったこともあった。チクロは砂糖の40倍の甘味があるとされる人工甘味料で、日本では1956(昭和31)年に食品添加物の認可を受けたが、米国で1968(昭和43)年に発がん性の疑いが指摘され、翌年に使用が禁止されると、日本でも認可が取り消され、使用禁止となった(現在は、また一部でこれを疑問視する声が上がり始めている)。
当時は衛生管理も相当ひどかったようで、筆者もある大手菓子メーカーのチョコレート菓子を食べていたら、1センチ四方ほどの小石が出てきたことがあった。メーカーに苦情をいって現物を送ったら、丁寧なお詫び状と段ボールに入った菓子の詰め合わせが届いたが、一体何をどうやったらあんなものが入るのか実に不思議だった。

しかし、その頃大手菓子メーカーの製造工場でアルバイトをしていた近所のお兄さんに尋ねてみると、「長靴履いて、スコップでドラム缶に菓子入れたりしてるからね。そういう時に入ったんだろうね」なんてことを、こともなげに答えていた。
当時は大手でさえこの有様だっただけに、中小や零細に至っては大半が推して知るべしの状況であったのかもしれない。