市販車の場合どれもレベル2というまだ自動運転とは言えないタイプの運転支援になります。これは高速道路など自動車専用道路で作動させて、一定のスピードで運転するかないしは先行車両と一定の距離を保って運転してくれる仕組みです。

 このレベル2の運転支援のハンドルさばきの実力差が出るのはカーブの多い道路です。具体的には東名高速の大井松田付近や、首都高を走るときに差が出ます。

 あくまで評論家の感想としてお伝えすると、トヨタ、スバル、BYDはほぼ横並びの印象です。感覚としては、3社ともカーブでハンドルを切るのがちょっと遅れる場合があります。それでもカーブは曲がれるのですが、自分でハンドルを切ろうかどうか一瞬迷うというか、最後まで運転をシステムに任せるには胆力がいる感覚です。

 テスラは2年前に乗り始めた当初から、カーブの多い自動車道路の運転が得意でした。御殿場でも軽井沢でも、システムの運転に任せてもストレスがない。その点では非常によくできた支援システムだと満足しています。

 さて、今回のニュースはそういった「現在の市販レベルの技術」ではなく「未来技術」の実験が始まったという話題です。これからどうなるのか、3つのポイントを説明したいと思います。

ポイント1:実は出遅れ組のテスラ

 先ほど私が購入した車の比較ではテスラが優れているという話をしました。市販車の運転支援システムの比較感では私だけでなく業界の専門家の方もテスラが優れているという評価をしています。

 一方でアメリカや中国ですでに営業運転が始まっているロボタクシー(運転手がいない自動運転タクシー)のジャンルでは実はテスラは後発組になっています。ここが先述した「正反対の評価」の背景です。完全自動運転システムではグーグルの子会社のウェイモや中国の百度が運行するロボタクシーの方が、運転技術として先行しているのです。

 なぜなのかというと、ウェイモや百度のロボタクシーにはライダーやレーダーといった最新鋭の監視装置が実装されているのに対して、テスラはカメラだけで自動運転を実現しようとしているからです。