駅前大規模開発に並ぶ
資産価値が上がりやすい要因とは
こうした開発は、市街地再開発事業であることが多い。市街地再開発事業を簡単に言うと、古い街を新しい機能的な街に再構築することを指す。これが駅前で大規模に行われるとその駅周辺の資産価値も上がる。代表的な例は、六本木ヒルズや恵比寿ガーデンプレイスなどになる。
大規模な再開発になると、供給されるマンションの戸数も多くなるものだ。そうなると、供給過剰懸念を質問してくる人が多いが、都心から電車で30分を超えない限り、需給が緩むケースを気にする必要はない。魅力的な物件を供給したら、需要は広範囲から集客でき、充分付いてくるだけだからだ。供給過剰懸念は価格下落リスクを気にしてのことだが、逆に価格上昇のきっかけになってくれるケースが一般的なことは覚えておこう。
こうした駅前大規模再開発に並ぶ資産価値を上げる効果として新線・新駅がある。東京都内では、有楽町線の延伸や都心部・臨海地域地下鉄などがそれに当たる。但し、開通までに期間がかかるので、早めに仕込んでも資金が寝るだけで投資効率は良くないので、気を付けよう。
これ以外にも、人を引きつける魅力を持っている街は需要が旺盛で資産価値を上げやすい。但し、そうした街のエリアは明確に狭い。狭くないと機能しないのだ。例えば、お台場周辺はほとんどが江東区で、一部が港区アドレスになる。この港区アドレスにツインタワーの分譲マンションがあるが、資産価値を維持している。もし江東区アドレスならこうはならないだろう。
同様の理由で、公立小学校区内は昔からニーズが強い。行政が学校選択制を採用しても倍率が高いので、その学区内に住まない限り、入学することはできない。同様にして、小中学校向けの有名塾やインターナショナルスクールの通学圏もそうなる。高台の上の街や眺望が保証されている立地や駅直結なども根強い需要があるため、有望エリアとなる。
ここで私が言っているのは、あくまでも資産性だけで街を見た場合に有望な立地を指摘している。伸びる街が自分にとっていい街かはご自身で判断してほしい。自宅は1つしか買えないので、資産性と自分や家族の嗜好性との関係から決めればいい話である。
しかし、資産性を無視すると、引っ越したくてもできなくなるリスクがあることは覚えておこう。その意味で、ここに挙げた伸びる街の条件を満たす駅の近くに住んでいれば、自宅が売れないリスクはほぼ無いという安心感だけは買えるだろう。
(スタイルアクト代表取締役/不動産コンサルタント 沖 有人)