そして仮釈放に関する意見照会があった際に、こうした経緯や資料などを踏まえて地検が意見書を作成する」というものでした。法律によってではなく、通達レベルによっても仮釈放審査が厳しくなるような運用が行われており、判決直後から仮釈放の見込みのない無期刑受刑者が多数収容され、施設の中で亡くなっているということが分かってきました。

こうした無期刑受刑者の仮釈放に関する実態を知ってもらうことで、死刑の存廃の議論に大きな影響を与えるかどうかは分かりません。実際に死刑が最終的に選択されることもあるでしょう。しかし、読者の皆さんが裁判員裁判で、有罪認定後に刑罰について評議を行うことになり、もしも死刑か無期刑か、が争われる事案に遭遇した場合に、少なくとも「日本には終身刑がないから、簡単に出てくる無期刑では不十分で死刑にすべき」という議論が評議の場で起きていた際には、「日本の無期刑はそのような運用はなされていないのではないか」と疑問をなげかけられるようになってもらいたいのです。