タバコは値引き競争がないために粗利益を稼げないといわれています。だから、お客からリピートしてもらうことが非常に重要なのです。

価格勝負ができない中で
小さな店が取った生存戦略

 さらなる工夫としては、路上近くで灰皿を提供し、まずは店のそばまで近づいてきてもらうという手も見られます。そして店内に誘導し、そこで葉巻やパイプタバコなど、嗜好性の高い商品を豊富に取り揃えることで地元の愛好家からの支持を集めている店もあります。

 また、タバコ以外の商品やサービスを提供することで、収益源の多角化を図る店舗も見られます。

 たとえば、コーヒーや軽食を提供するカフェスペースを併設したり、喫煙具や関連グッズの販売を強化したりして、タバコ以外での収入を確保しています。

 これからは喫煙家のコミュニティの形成とか、新商品を試すイベントとか、グッズを販売するなどの工夫が今まで以上に必要ですね。「大人の嗜好品ショップ」として進化し、タバコ+α、たとえばウイスキーやコーヒー、チョコレートなどと組み合わせて提供する店も出てくるのではないかと私は考えています。

ただ古本を売るだけで
大手に太刀打ちできるわけがない

 また、タバコ屋と似た業態に古本屋がありますね。

 そもそも今はスマートフォンの普及もあって、電車で本を読んでいる人をあまり見かけません。私は電車で、出版社の知人と、新聞社の知人を別々の機会に見つけたことがあるのですが、両者ともスマホの有名アプリでネットニュースを見ていました。出版業界の当事者2人とも、紙の媒体で本も新聞も読んでいなかったわけです。

 それでも書籍が好きな人はいますし、電子化されていない書籍や、ただただ紙の書籍が好きな人もいます。あの茶色く変色した古本は、もともと樹木の成分のリグニンが紫外線によって年を取ったものです。古本からほんのりと甘さが匂うのは、そもそも古書が植物だったためです。

 だから古本は嗜好品としてとらえるべきです。嗜好品である以上、その古本屋に何らかのブランド力や魅力がなければ、お客が選んで入店しませんよね。ただでさえ大手のチェーン店が大量に古本を買い取り陳列していますので、個人商店が勝負を挑むのであれば、それなりの工夫が必要です。