まず高級化から。ハンコの持ち手部分の素材を高級木材や金属でカスタマイズするサービスがあります。

 またアクリルやガラスの透明素材を活かして、現代的なデザインに仕上げて高級化を図る店もあります。さらに、ペンダントやキーホルダーとしても使える「アクセサリー印鑑」というのもあります。

 ネットで調べればたくさん出てくるのですが、それで売れるかはネーミングとPRしだいですね。専用の台座とセットにしてインテリアとして飾れるハンコもあります。

 たとえばこのところバズったのは、ものすごく精密で細かな二次元バーコードを彫ったものでした。緻密さや技巧がすさまじく、その加工技術が、見る人の驚きを誘ったのです。

 単なる印鑑ではなく、工芸品としての価値を打ち出すことで、新たな市場を開拓しました。押印することでコードが読み取れ、デジタルとアナログの融合が楽しめるという点で、多くの人の関心を集めました。

 デジタルではないハンコは、実物そのものが驚けるものでないといけません。その意味で、二次元バーコードを彫ったハンコは見事でした。

 また、お客が彫ってほしい名言を元にハンコ化するのも面白い試みです。押すための道具から、持っていて楽しい、さらに他者に話したくなる(だから口コミも発生しやすくなる)道具へとうまく昇華させたのです。

『鬼滅の刃』にあやかった
畳屋ならではのヒット商品

 では次に、畳屋はどうでしょうか。

 伝統的な日本家屋には欠かせない畳ですが、住宅の洋風化に伴い、その需要が減少しているのは仕方がないところです。しかしそんな中でも、畳縁を利用して、カードケースや文具などを生産し販売している店があります。また、ハンドメイド教室に販路を拡大する例もあるようです。

 なお、コロナ禍で話題になった畳屋は、漫画『鬼滅の刃』のキャラクターフィギュアを置いて飾れるミニ畳を生産したところ、注文が殺到していましたね。

 集客の方法が折込チラシなどの紙媒体しかない店舗も多い中、ネット販売を通じて日本全国、そして世界各地に届けていました。

 その他、コースターやランチョンマットなど、絵柄のバリエーションが豊富な畳グッズがたくさんあります。