もちろん温かいものと冷たいものを分ける努力はする。しかし、だからといって片方は30度、もう片方は10度といった設定にはできない。私の経験上、その日の配達1件目のときは、バッグ内に冷気を感じることができる。しかし2件目、3件目と回数を重ねていくと、どうしても気持ち程度の温度管理しかできなくなる。

 だからこそと言うべきか、私は外の気温が高くなればなるほど、いつも内心ヒヤヒヤしながら活動している。

ウーバー配達員が歓喜する
サーティワン店員の神対応

 説明してきた通り、私たちデリバリー配達員はこの季節、氷の入った飲み物やアイスの配達に神経を尖らせている。

 ところがどっこい。子どもから大人まで大人気、サーティワンアイスクリームの商品を配達する際は、むしろ私の中で安心感が生まれる。なぜならサーティワンの商品を配達する際は、店員さんがアイスが溶けないよう、ドライアイスを袋に入れてくれるからだ。

 おそらくサーティワンのマニュアルなのだろう。白い冷気が出ている商品を受け取る際、店員さんから「お客様にお渡しする際は、ドライアイスが入ってますので(凍傷・冷凍やけどに)お気を付けください、とお伝えください」といつもアナウンスされている。なんて心強いメッセージなんだろうか。

 サーティワンの企業努力を見習い、過去に私も配達の度にスーパーへ寄り、ドライアイスを購入していた時期があった。しかし配達員の報酬は、おおよそ1件あたり300~500円前後しかない。配達に関わる備品類はすべて自己負担。ドライアイスの購入は(量にもよるが)50円前後の費用が発生する。残念ながら持続不可能と判断した私は、現在は配達用バッグに凍らせた保冷剤を入れて活動している。

 本音を言えば、こういった食品の温度管理は、飲食店側にも一定の努力をしてほしい。例えばコンビニ各社がアイスのデリバリー注文にだけ、10円や20円で保冷剤を付けられるオプションを用意してくれれば、私たちもお客様もお店も、全員が幸せになれるのではないか。

 これは補足だが、チェーン店ではない個人店の弁当屋では、小さな保冷剤を付けているケースがあり、その気配りと心配りに驚かされたことがある。