「ビリ」には伸びしろしかない

 焦りました。大丈夫か……こんなかんじで本当に卒業までいけるのか……。

 同時に、もうひとつの感情もわいてきて、涙が出てきたんです。

「よくぞ、こんなところに私は来たよ」と。

 こんな英語力で、よくぞ留学を志したよ。それで、本当に来ちゃった私は、まじで偉いよって。自分が愛おしくて、尊くて、泣けてきたんです。

 これ、覚えておこう、と思って撮った写真がこちらです。

「営業成績が最下位でしんどい」と悩む会社員への「ビリギャルの言葉」が前向きすぎて希望しか見えないオリエンテーションでの光景 写真:小林さやか

 それで、この本を書きました。

ビリギャルが、またビリになった日

 この本のタイトルを、このときの私は、なんだか誇らしくうれしい気持ちでつけました。

「ビリ」ってのは、可能性の塊なのです。もう伸びしろしか、ないのです。

 成績1位の人なんて、自分以上にデキる人がそこにいないんだから、そこからなにか新しいことを学ぶ機会はあなたよりもずっと少ないです。対してあなたは、周囲に学びの源泉がゴロゴロ落ちている状態で、成長しまくりのラッキーポジションなのです。

「そんなポジティブに考えられるか!」といらついている声が聞こえてきそうなので、具体的にあなたにやっていただきたいことをいいます。ぜひ実践してみてください。

毎晩寝る前に、自分を抱きしめてみよう

 それは、「ちっこい成功体験を積み上げる」ということです。ちっこくていいです。

 例えば、「今日はちょっと早く会社に行って、デスクを掃除する!」という約束事を、自分とするのです。

 そして、夜寝る前に、ノートに今日自分とした約束を何個守れたか、つまり今日あなたが獲得した「できた!」を、集めてください。

 そして、それをニヤニヤ眺めてから寝てください。自分を心の中で、抱きしめるのです。偉いぞ、すごいよって。

 そして次の日も、自分との約束事をいくつかつくって、寝る前にいくつ約束が守れたかを振り返る。

 これ、何をやっているかというと、「自分に対する信頼」を積み上げているのです。

「あの人は信頼できるよなあ」という人は、どんな人ですか? 約束を守る人です。

 だから、自信、つまり「自分を信頼できる力」とは、自分との約束事を守り続けていけば、つきます。

 自信がつくと、モチベーションが湧きます。モチベーションが湧くと、パフォーマンスが上がって、成果が上がってきます。

 まずは、「自信」をつけるところから。「ビリは伸びしろしかない!」と胸を張って、周囲がびっくりするくらい成長しちゃってください。

 あと、もうひとつ。「メタ認知」を育てる意識を持ってください。

 メタ認知とは、自分の思考や行動を、もう一人の自分がすこし離れたところから客観的に観察しているような力。

 なんでも成果が出やすい人、効率的になにかを学ぶことが得意な人は、決まってこの「メタ認知」と呼ばれる能力が高いと言われています。