世界株型や米国株型は
指数に“勝ち続ける”のが難しい

 日本株型は指数を上回る好成績のアクティブ投資信託が比較的豊富だ。では、「オルカン」の人気が高い世界株型はどうか。オルカンが連動する「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス」(MSCI ACWI)と比較してみよう。

 世界株型で1年・3年・5年の成績がMSCI ACWIを上回るアクティブ投資信託は、263本中9本にとどまった。半面、各期間とも下回ったものが186本にのぼる。これを見ると、アクティブ投信が避けられがちなことも理解できる。

 世界株、そして米国株は、代表的指数であるMSCI ACWIやS&P500の上昇率がかなり高い。加えて半導体関連やIT関連などテック株の影響が大きいため、日本株以上に市場環境による運用スタイルの有利・不利が出やすい。指数に“勝ち続ける”ことは非常に難しいのが現実だ。全世界株や米国株では、インデックス投資信託を選ぶのが合理的、ともいえる。

 ただ数は少ないものの、上の表のようにMSCI ACWIを大きく上回る成績のアクティブ投資信託もある。「野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)」と「東京海上・宇宙関連株式ファンド(為替ヘッジなし)」はその名のとおりの業種に絞った投資信託だが、同種のインデックス投資信託と比べても好成績だ。「世界のベスト」は成長性や割安性で銘柄を選別する王道の運用で、“指数超え”を達成している。

“インデックス投資信託なら低リスク”ではない
下がりにくいアクティブ投資信託もある

 アクティブ投資信託の難点としてもう一つ言われるのが、“リスクが高い”ということ。実際どうなのか、日本株型の最大下落率で検証してみよう。なお、ここでの最大下落率は、過去5年のうちどこかの時点で1年間保有していた場合で、最も成績が悪かった時の数字だ(月次ベース)。この数字が大きいほど、運用環境が厳しい時期の荒れ方が大きい、すなわち、リスクが高いということになる。

 TOPIXの最大下落率が-7.1%だったのに対し、日本株型アクティブ投資信託の平均は-13.4%。全体的に見て、確かにアクティブ投資信託はリスクが高い。投資先を絞り込んでいるので、ある意味当然だ。

 しかし、これも個別の投資信託次第。TOPIXより最大下落率が小さいアクティブ投資信託は35本あった(5年前時点で1年以上の運用実績がある252本中)。上の表ではNISAで買えるアクティブ投資信託の“下がりにくさ”トップ3を掲載。1位の「日興クオンツ・アクティブ・ジャパン」、2位の「新経済成長ジャパン」は、最大下落率がTOPIXの-7.1%に対し、-1.7%とかなり小さい。

 成績も意外といい。35本のうち、23本は1年・3年・5年の成績がTOPIXを上回る。“下がりにくさ”トップ3も、いずれも指数超え。3位の「初(はじめ)くん」は5年の上昇率トップ3にも入っている。これらはローリスク・ハイリターンを実現できた投資信託と評価できるだろう。

 ただし、一般的には“リターンが高いものはリスクも高い”というのが投資の原則。基本としては、アクティブ投資信託は値動きが大きいものと考えたほうがいい。積立投資で時間分散を図る、投資額を小さくするなどでリスクを抑えよう。また、インデックス投資信託を資産運用の中核に、アクティブ投資信託はプラスアルファの位置づけにするのがおススメだ。

 アクティブ投資信託に否定的な人に注意してほしいのは、“インデックス投資信託なら低リスク”ではないということ。この点を誤解している人が少なくない。

 指数に成績が連動するということは、市場のリスクがそのまま投信のリスクになる。株式は、そもそも投資対象として高リスク高リターンだ。過去5年のTOPIXの最大下落率は-7.1%だが、これはたまたま最近の市場環境が良かった結果。10年で見た最大下落率は-22.0%となる。さらに遡れば、2008年のリーマンショック時には-45.4%となっている。

 インデックス投資信託とアクティブ投資信託には、それぞれの魅力がある。インデックス投資信託だけで済ますのも、もちろんいい。だが、一歩踏み出すことを考えるなら、アクティブ投資信託にも目を向けてみよう。

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ダイヤモンド・ザイでは1年に1回、「NISAで買える本当にイイ投資信託」を部門別にランキングし、上位のファンドを表彰している。人気や知名度ではなく、データを最重視した完全実力主義のアワードだ。「1.どれだけ上がったか(上昇率)、2.どんな時も下がらない(下がりにくさ)、3.ずっと優等生(成績の安定度)」の3つの独自基準で評価を行う。また、非常に人気があり多くのお金を集めているにもかかわらず成績が振るわない投資信託も、「もっとがんばりま賞」として発表している。

<ダイヤモンド・ザイNISA投信グランプリ2025>
[2025年]受賞投資信託30本一覧

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本記事は2025年8月27日時点で知りうる情報を元に作成しております。本記事、本記事に登場する情報元を利用してのいかなる損害等について出版社、取材・制作協力者は一切の責任を負いません。投資は自己責任において行ってください。