「ちゃんと聞いてもらえた」は
相手からの信頼につながる

 相手が自分の話に興味を持ち、心からの賛辞や感心を示してくれることほど、うれしいことはありません。

 つまり、聞き上手とは、話題の引き出しを多く持ち、相手との共通点を探す努力を惜しまない人のこと。そして何より、「あなたに関心があります」という姿勢を、言葉と態度で伝えられる人である、といえるでしょう。

 私自身の経験を振り返っても、「また会いたい」と感じた相手の多くは、聞く力に長けた人たちばかりでした。私の話に真剣に耳を傾け、ときにうなずき、ときにメモをとり、ときに笑いながら受け止めてくれる。その姿勢が、話す意欲を引き出してくれるのです。

 人は「ちゃんと聞いてもらえた」と感じた相手には、安心して本音を語ります。そうやって語られた本音は、ときにその人自身にとっても「自分はこんなことがしたかったんだ」という気づきになることも。「あの人と話すことで、自分が本当にやりたいことがわかった!」という経験ができたなら、それは相手への最上級の信頼に結びつくでしょう。

 たとえ知識が乏しくても、素直な興味と敬意を持って相手の話に耳を傾ける。その姿勢こそが、会話を深め、人間関係を育てる土壌になるのです。

 今日からできることとして、まずひとつ、知らない話題に出会ったら、話題を変えたり、受け流すのではなく、何かひとつ質問をしてみることを実践してみましょう。そんな小さな一歩が、聞き上手への大きな入り口になるはずです。