また、ウクライナ国防省は、2025年2月10日で、ロシア軍の戦車1万両、装甲戦闘車両2万813両、火砲2万2879門、多連装ロケット1273門・両、ドローン2万4623機、軍用ジェット機370機、ヘリコプター331機、各種艦艇28隻、潜水艦1隻などを破壊したと発表した。
イギリスのシンクタンク、国際戦略研究所によれば、ロシア軍は侵攻開始前の2022年初頭の時点で約3000両の戦車を現役配備し、それ以外に予備保管しているものを含めると最大1万200両もの戦車を保有していたそうだが、その大部分が失われたことになる。
兵員と武器の損耗だけ見ても、戦争の長期化がロシア側に深刻な影響を与えていることがうかがえる。
圧倒的弱者のウクライナは
国民の一体感と国際支援で戦う
一方のウクライナはゼレンスキー指導のもと、国民も軍も3年以上、ロシアの猛攻に耐え善戦している。
ウクライナが善戦しているおもな理由は、第1に、国民の団結と士気がある。ウクライナの人々は、自国の独立と自由を守るために強い意志を堅持し、戦争下の辛い生活に耐えている。
第2は、国際的な支援である。アメリカやヨーロッパ諸国からの軍事支援・訓練や経済的支援が、ウクライナの防衛力を強化している。これらの要因が複合的に作用し、ウクライナが耐え続ける力を支えている。
習近平が学んだ第2のポイントは、ロシアが核兵器を使えないということだ。
プーチンは核兵器使用をちらつかせてゼレンスキーとNATOを恫喝したものの、結局核兵器は使用できないでいる。習近平も台湾に核兵器を使うことが極めて困難であることを学んだはずだ。
習近平が学んだ第3のポイントは、ロシアもアメリカやヨーロッパとの戦争に踏み切ることを極めて慎重に回避していることだ。ウクライナ戦争がロシアの対欧米戦争にエスカレートすれば、第3次世界大戦に繫がる恐れがあり、その被害は桁違いとなることを承知しているからだ。
習近平が台湾に侵攻する場合、アメリカとの戦争を回避できる確証が必要となるだろう。
習近平はガザ・イスラエル戦争からも深い教訓を得たと思われる。
イスラエルとハマスの戦力差、地政学(陸続き)、人口密集地であることなどから見れば、ハマスは短期間に白旗を揚げるとみられていた。