「台湾有事」4シナリオでトランプ“ディール外交”に絶対取らせてはいけない選択肢とは?Photo:AFP=JIJI

台湾問題でも「米国第一」!?
考えられる「4つのシナリオ」

 トランプ第2次政権が1月20日に発足。トランプ大統領は就任第1週から、移民送還のための南部への米軍派遣やエネルギー緊急事態宣言、パリ協定離脱などを表明、さらに「米国第一」の政策関連数十本の大統領令に署名し、政策大転換に踏み出した。

 大統領令などの中心は国内問題に関するものだが、対外的には、例えば、関税引き上げなどを絡めた「取引(ディール)外交」を遂行するといわれており、2月4日からは、不法移民や合成麻薬の米国への流入のもとになっているとして、メキシコ・カナダに対する25%関税実施が表明された。

 その後、メキシコ・カナダへの関税は「1カ月発動停止」になっているが、対中国政策では、同様の理由で10%追加関税が実施される一方で、中国系短編動画投稿アプリ「TikTok」を事実上、禁じる法律の適用を延期する大統領令の発出や就任100日以内での中国訪問に意欲を示すなど、ディール外交が、今後、どういった形で展開されていくのかは、未知数だ。

 政権の主要閣僚には、マルコ・ルビオ国務長官をはじめ、ハワード・ラトニック次期商務長官、ジェイミーソン・グリア次期通商代表部(USTR)代表、ジョージ・グラス次期駐日大使など対中強硬派が多数を占める一方で、「政府効率化省」を率いる実業家のイーロン・マスク氏や、元上院議員で国際ビジネスに長年関わりのあるデービッド・パデュー次期駐中国大使など、中国ビジネスで利益を収めた人物もいる。

 いずれにしても米中間では、決定的な衝突を避けながらも双方が国益確保、覇権を競うせめぎ合いの中でディールを行う可能性は高い。

 とりわけ日本にとって、台湾を巡るディールの行方は安全保障に大きく絡む他人事ではない問題だが、米国が取ると考えられるのは「4つの有事シナリオ」だ。