米中のせめぎ合いの先に待つ
全面核戦争という最悪な結末
中国は、これまで実施してきた演習を装って、ある決められた日時に、突然台湾に対する海上封鎖を実施して台湾への物流を阻止する。
この事態をキューバ危機に擬えれば、台湾が事件当時のキューバに当たり、台湾の海上封鎖を実施する中国がキューバを海上封鎖したアメリカ、台湾救援に駆け付けるアメリカがミサイルを搬入しようとしたソ連――という構図になる。
キューバ危機においては、直接事件に関わった国は、アメリカ、ソ連、キューバであったが、中国の台湾封鎖には、中国、台湾以外にもアメリカ、日本、韓国、フィリピンなど多くの国々が巻き込まれることになる。
中国が台湾に対する海上封鎖を行えば、それは台湾のみならず、日本・韓国などと中東を繋ぐシーレーン(海上交通路)――石油の輸入ルート――を脅かすことになりかねない。

なぜなら、中国による海上封鎖に対して、日本・韓国などがアメリカに協力して処すれば、中国は日本・韓国などのシーレーンを遮断するからだ。
これは、日本・韓国などにとっては死活問題だ。このような理由で、中国による台湾の海上封鎖は、日米間、米韓間などの分断に繋がる可能性がある。
中国の台湾封鎖を巡る米中チキンゲームにおけるポイントは、「直接軍事対決(交戦)を何とか回避すること」と「核戦争へのエスカレートは絶対に避けること」であろう。
それでいて、米中双方とも「直接軍事対決(交戦)も厭いとわないこと」と「核戦争へのエスカレートも覚悟していること」を平然と装いつつ、ディールするであろう。
万一米中のチキンゲームがエスカレートすることになれば、最悪の場合、人類を滅ぼしかねない米中全面核戦争になる可能性がある。トランプと習近平はケネディとフルシチョフが行ったようなきわどいゲームをやることになるが、ふたりは人類絶滅の可能性を秘める“世界最終戦”を回避できる確証があると言えるだろうか。