私はこうした傾向に注意を呼びかける意味を込めて、たんぱく質のとりすぎによる疲労感を“たんぱく質疲労”と呼んでいます。
確かにたんぱく質不足は問題です。筋肉の合成や修復、免疫機能の維持などが滞るため、疲労感にもつながります。しかし、とりすぎもまた、問題なのです。
プロテインドリンクやバーは、激しい運動や肉体労働、欠食をしたときなど、補足的に摂取するのは問題ありませんが、1日3食の食事から必要量のたんぱく質が摂取できているのならば、日常的に食べ続けるのはおすすめできません。
加工食品やインスタント食品のとりすぎが、腎疲労を招く
私たちが疲れを感じる原因はさまざまありますが、なかなか原因がわかりづらいものに、腎臓の疲れからくる“腎疲労?があります。
改めて言うまでもなく、腎臓は、体内の老廃物や余分な水分を体外に排出する、重要な役割を担っています。食生活の偏りなどによって腎臓が弱ってくると、疲れやだるさなどの症状が現れることがあり、ひどくなると腎臓病を発症します。
近年、腎臓を疲れさせる原因として注目されているのが、リンです。リンは、骨や歯の形成、エネルギー産生、細胞膜やDNAの構成要素など、重要な働きをしてくれるミネラル。多くの食品に含まれているため、不足することはほとんどありません。
問題は、過剰摂取です。血液中のリン濃度が上がりすぎないように腎臓が働いているので、リンをとりすぎると腎臓を疲れさせてしまうのです。
リンには有機リンと無機リンの2種類があります。有機リンは、肉や魚、卵、大豆製品などに含まれている、いわば自然のミネラルです。
一方、無機リンは、ハムやベーコンなどの加工肉、練り物や菓子などの加工食品、カップ麺などのインスタント食品に、食品添加物として加えられています。肉などのたんぱく質に入っている有機リンは体内での吸収率が20~60%と低いのですが、無機リンは90%以上なので、気にせず食べていると過剰摂取になってしまうのです。