だから、ガザ地区はもう解決がつかない状態になっている。ハマスを追い出す、それしかないわけだ。この地区はやはり、力と力の均衡点で収まっているから、イスラエルに対して反抗しない人々が細々と生きていく。結局は、そういう形に収まるだろう。

逃げられる人は逃げる。逃げる先のない人は、そこに留まって質素な生活をしていくことになるわけだ。
ガザ地区の住民、約220万人をシナイ半島へ避難させるという構想もあるが、現実的には極めて困難である。エジプトがそれを了承するとは考えにくい。仮にエジプトの同意なしに強行されれば、大規模な流血、最悪の場合、皆殺しの事態すら想定される。さらに重要なのは、その約220万人のなかには、当然ハマス関係者も含まれているという事実である。エジプトにとって、ハマスの構成員を受け入れることは、あまりにも大きなリスクを伴う。
現段階(2025年5月5日)では、ガザに関してはシナリオがない。当然、着地点もわからない。イスラエルとしては今の版図だけを維持することで精一杯だから、「後は知らない」という立場にある。人口約600万人のイスラエルは、すでに1年半も戦争をしている。イスラエル自体はいっぱいいっぱいな状態だ。イスラエル建国以来、初の長期の大戦争である。イスラエルは総力戦をした経験がない。
長い交戦期間は、第4次中東戦争の17日間だったし、第3次中東戦争などは最も短くて、たったの6日だったのだ。