
大和ハウス工業、積水ハウス、住友林業のハウスメーカー3強の2024年度決算が出そろった。3社とも国内の事業に加え、住宅需要が旺盛な米国事業が業績をけん引し、営業利益はいずれも過去最高を更新した。我が世の春を謳歌する3社だが、成長ドライバーとなる米国事業には暗雲が垂れ込めている。トランプ政権の経済政策の混乱によるリスクが浮上しているからだ。特集『激動!決算2025』の本稿では、3社の米国での事業展開の中身を明らかにするとともに、今後高まりかねないリスクについて解説していく。(ダイヤモンド編集部 宮井貴之)
ハウスメーカー3社は過去最高益
大和ハウスは営業利益5000億円超
大和ハウス工業の2025年3月期の売上高は前期比4.5%増の5兆4348億円、営業利益は同24.1%増の5462億円となり、ともに過去最高を更新した。開発物件の売却益増や原価率の改善が利益を大きく押し上げた。
24年12月期決算の住友林業と25年1月期決算の積水ハウスも好決算となった。住友林業は国内外の戸建て住宅の販売が伸び、営業利益は前期比33.0%増の1945億円。積水ハウスの営業利益は前期比22.3%増の3313億円だった。昨年に買収した米国企業の業績が上乗せされ、営業利益は過去最高を更新した。
ハウスメーカー3社で比較すると大和ハウスの業績が際立っていることが分かる(下図参照)。大和ハウスは国内の戸建て住宅事業については、シェアは2社に劣るものの、他の事業が満遍なく稼いでいるからだ。
大和ハウスの25年3月期の営業利益をセグメント別に見ると、物流施設やデータセンターを扱う事業施設部門が前期比29.5%増の1596億円。次いで商業施設部門が同1.6%増の1459億円。賃貸住宅部門が同12.2%増の1299億円となっている。
ハウスメーカー3社が目下、しのぎを削るのが米国事業である。前述のように、積水ハウスは昨年に米国で大型買収を仕掛け、3社の米国事業の序列も激変している。一方で、トランプ政権の誕生で、米国事業にはリスクもくすぶる。次ページでは、3社の米国での事業展開の中身を明らかにするとともに、今後各社で高まりかねないリスクについて解説していく。