
主要住宅メーカー各社は国内の人口減少に伴う市場規模の縮小に備え、米国事業を強化する方針を示している。だが、米国市場の先行きに暗雲が垂れ込めている。移民の流入により戸建て住宅の需要は根強いものの、住宅ローン金利の高止まりが消費マインドを冷やしているのだ。特集『住宅メーカー総力戦』の本稿では、住友林業、大和ハウス工業、積水ハウスの直近の決算の業績を分析しながら、米国事業の先行きと経営リスクについて明らかにする。(ダイヤモンド編集部 宮井貴之)
住友林業の光吉社長「想定を超える厳しさ」
米国不振を受け、通期業績予想を下方修正
「金利の高止まりとトランプ政策の不透明感の広がりは想定を超える厳しい状況だ」。8月8日に開かれた住友林業の2025年6月中間期決算の会見で、光吉敏郎社長は米国事業についてそう振り返った。
同社の25年6月中間期の売上高は前年同期比9.1%増の1兆747億円と増収となったものの、営業利益は829億円で8.9%減に沈んだ。
減益に陥った要因は米国事業の販売不振だ。
米国住宅事業だけを見ると、営業利益は24.5%減となった。米国では住宅ローン金利の高止まりで顧客の様子見の姿勢が強まっており、各社は値下げして何とか販売を支えている状況なのだ。
同社は米国事業で想定以上に販売戸数が落ち込んだことを受け、通期業績予想も下方修正し、売上高は従来の2兆5560億円から2兆3200億円に、営業利益は1950億円から1640億円にそれぞれ引き下げた。
ただ、こうした状況は住友林業だけではない。高成長が見込める米国市場に力を注いでいる積水ハウスや大和ハウス工業も同じような状況に追い込まれているのだ。
次ページでは、積水ハウスと大和ハウス工業の直近の決算を分析したうえで、日本の住宅メーカーが新たな金脈として投資を進める米国事業の先行きについて解説する。また、各社の米国事業の中身を基に、日系住宅メーカーの米国での来期以降の序列についても占う。