ハウスメーカー、デベロッパー、ゼネコンの三つの顔を持つ大和ハウス工業は、「創業者の夢」である創業100年で売上高10兆円という目標に向かって猪突猛進している。特集『総予測2025』の本稿では、ダイヤモンド編集部のインタビューに応じた大和ハウスの芳井敬一社長が、2025年の見通しをはじめ、売上高10兆円に到達するための“スパルタ戦略”や人手不足の処方箋などについて語る。(聞き手/ダイヤモンド編集部 堀内 亮)
中期経営計画を上回る好業績
「まだまだ伸びる」とインパクト与えたい
――2025年の見通しは。
住宅分野は、先行きが不透明といえます。その要因の一つは、金利の上昇です。マイナス金利が続いていたため、今後住宅ローンを組んで住宅購入を考える方には、少しネガティブに働くかと考えられます。金利が上がり、物価も上昇する中で、実質賃金がそれを上回る伸びを見せないと、日本経済の見通しも暗くなってしまいます。
一方、おかげさまで不動産分野は好調です。中古住宅や既存の工場、ビルなどの買い取り再販やリノベーションなどを手掛ける「リブネス」事業は、不動産開発の一つの軸になっています。デベロッパー機能だけでなく、ゼネコン、つまり施工業者の顔も持つ当社の強みを評価していただき、金利が上昇する中でも獲得できる案件が増えていると感じています。
――中期経営計画(22~26年度)で掲げた目標を上回るペースで業績が推移しています。24年度の業績見通しは売上高5兆3700億円、営業利益4400億円で、26年度に売上高5兆5000億円、営業利益5000億円という目標に迫ります。
中期経営計画3年目で、ステークホルダーにお約束した数字付近まで到達する見込みです。社員の皆さんのおかげです。それでも、まだまだ伸びるよね、というインパクトを皆さんに与えたい。
――まだまだ伸びるというと。
次ページでは、創業から100年で売上高10兆円という創業者の夢を実現するための、大和ハウス流“スパルタ戦略”を解き明かす。芳井社長は「子供に水泳を教えるのと似ている」という。また、売上高10兆円に向けて大きな鍵を握る米国事業の戦略、昨今の人手不足に対する処方箋についても、芳井社長が明らかにする。