だが、病院の方も何とか現行の診療報酬の中で経営状態を維持しようと必死だ。
残念ながら、診療報酬をコロコロ変える厚生労働省には、50年先のビジョンどころか、5年先、10年先のビジョンさえないとしか思えない。
しかも、厚生労働省を動かしてるのは、財布を握っている財務省、旧・大蔵省だ。国の財務の事情で景気がいい時は好きなようにさせておいて、景気が悪くなると診療報酬を締めつけて支給を減らす。
2024年度の診療報酬改定でも、2014年をピークに減っていた7対1入院基本料の算定病床数が2021年から微増傾向にあることが問題視され、「患者の平均在院日数を16日以内」にしなければ算定できないようにした。

2023年度までは「患者の平均在院日数が18日以内」に収めることが条件だったから、平均で2日以上短縮しなければならないのはかなりきつい。
それ以外にも、患者の重症度や看護必要度がかなり高くないと算定できないようになったので、特に中小病院では要件を満たせなくなり、大幅な減収になるとみられている。
ただでさえ赤字経営を余儀なくされている中小病院には大きな痛手だ。患者の平均在院期間を短くしようとして、早々に急性期病院から追い出される患者もさらに増えるだろう。
民間病院の経営者は、診療報酬が高い方向へ舵を切ったと思ったら、診療報酬改定の度に、新たな条件をつきつけられるので、それをクリアするために四苦八苦している。
厳格化された条件をクリアできなければ方向転換をするか沈没し経営が立ち行かなくなって倒産を選ぶしかないわけだ。これが民間病院の倒産が多くなる主因である。